会社設立後の運営に書かせない、債権回収のお話

ビジネスでは、いくら売上を挙げても、お金を回収できないと意味がありません。

 

タイトルにある「債権回収」と聞くと、なんだかおどろおどろしく感じるかもしれませんが、要は「相手に提供した価値分のお金を、きちんと先方からいただきましょう」という話です。

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債権を回収するまでがビジネス

ビジネスというと、顧客に契約してもらい、価値を提供することが前提になります。

 

しかし、価値を提供しても、お金を受け取ることができなければ意味がありません。

 

売上を挙げるだけでなく、売上分をきちんと回収するまでが仕事です。

 

当たり前のこととわかっているけれども、いざ自分がその立場になると、様々な事情で強くいえなかったり、遠慮してしまうことも出できがちです。

 

そこで、債権を回収しやすくなるための、基本的なポイントをおさえておきましょう。

 

債権回収をスムースに行うために、取引当初から心がけたいポイント

・極力先払いでお願いする

一番良いのは、先方から先に払ってもらうことです。(様々な事情で難しい業種も多いかと思いますが・・・)

 

全部は難しくても前金として半分など一定額を請求する、「当社はどのお客様に対しても、先払いでいただく規定となっております」と説明するなど、最初から先払いをしてもらうことが、債権回収で悩む事をなくします。

 

対法人向けのビジネスは難しいところがあるかもしれませんが、対個人の場合は、先払い、もしくはサービスの提供と同時払いをお願いすることを、特に心がけた方がよいでしょう。

 

なかなか自社からだといいにくいという所はあるかもしれませんが、「当社はこういう規定となっております」とすると、意外と納得してくれるケースも多いです。

 

もしここで、相手が強くクレームをいう場合は、他のことでもクレームを発生させる可能性がありますので、ある意味最初のうちにスクリーニングできてよかったと割り切るべきでしょう。

 

それ以外の前金・納品時同時回収が多い業種は、請求書の発行(一見当たり前のようですが、請求書の発行をしない会社も意外とあります)を行い、2週間後や月末締めなど、期限をきちんと区切り請求を行うことです。

 

また、期限までに入金がない場合「どういうご事情ですか」と連絡し、状況確認をすることは不可欠です。

 

ともかく、取引相手に「ここはお金のことはきっちりしているな」と思ってもらうことで、相手が「この取引先への入金は後回しでいいや」と思われないようにすることです。

 

債権回収は、1円でもきちんと回収するという意志が必要

債権回収においては、「できるだけ早く」「1円も残らず全額回収する」という気持ちが重要です。

 

なかなか自分だけだと、回収で強くいえないというケースも多いかもしれません。その場合は、事務スタッフなど、第三者から請求させるという手もあります。

 

また、カドが立たないように、「念のため、申し訳ないですけど再度請求を行いますね」と伝えることも重要です。

 

債権回収というと、昔のドラマのように強引に回収するイメージもありますが、様々な証拠の保全が簡単になった現在(ICレコーダー・スマホで録音するなど)、強い口調で取り立てを行うと、逆に何らかの形で反撃される可能性もあります。

 

そのため、自社から直接請求するときは丁寧に、それでも応じない場合は、弁護士などの専門家に相談し(コスト割れしない金額であることが前提、コスト割れする場合は自社で対処)、内容証明の送付など相応の処置を行うことが必要です。

 

また、コスト割れする場合でも、今後同じことが起きないようにするという意味で、弁護士に「今後同じトラブルが起きないように」という観点で相談するのも一つの考え方です。

 

あくまで厳しいことは自分からいわず相手に気づいてもらう、それでわからない相手なら、弁護士などを通し連絡するか、少額ならばこまめに連絡をし、少しでも支払いをしてもらうとともに、その相手との新規の取引は控えることです。

 

なかなか経営者でも、売上を伸ばすのは好きという人はいても、債権回収をするのが好きという人は多くないでしょう。

 

また、債権回収をせずにすむような状況を作ることも経営者の仕事と言えます。

 

いずれにせよ、売上分のお金を現金で回収するまでが仕事であることを心得ましょう。

会社設立後の顧客管理の手法

会社設立後、事業が軌道に乗ると、ビジネスの種類によっては、顧客が増大する業種も多いです。

 

数社としか関わらないという形であればともかく、法人・個人問わず多くの顧客と関わるようになると、「顧客管理」という観点が大切になります。

 

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顧客管理をどのように行うのか・なぜ行うのか

まず、社長一人や数人の社員で、十分管理できる場合はエクセル・アクセスなどで十分かと思います。

 

ただ、多くのビジネスは、顧客が増えるにつれ、管理が難しくなって行きます。

 

そもそも、顧客管理というのが、

  • どこまでお客様のデータを預かるのか
  • 預かったデータを、どのように顧客対応の改良や接触・サービス提供・セールスに活かすか

など、「顧客管理を通して何を行うのか、なぜ行うのか」が明確になっていないと、「顧客のデータを集め整理して、自己満足で終わる」という、作業のための作業になってしまいます。

 

顧客管理を行う上では、「何のために」という目的意識が欠かせません。

 

例えば、ある仕出し弁当店では、電話がかかると、氏名・電話番号から様々なデータを把握できるようにしているそうです。

 

過去の注文履歴や所在地・顧客の誕生日・記念日・七五三や地域の行事などのイベントを把握し、記念日にはメニューと割引券をつけたダイレクトメールを送るなどしています。

 

相手が必要だろうな、というタイミングを見定めるために、住所だけでなく、顧客の家族構成・生年月日などの情報もきちんと管理しています。

 

一方、対法人がメインのある業種では、取引先が数社のみであり、取引先とのやりとりはビジネスチャットに集約されているため、権限のある社員であれば、過去の様々なやりとりを確認する事ができます。

 

また、ビジネスチャットに書けない部分は、別の社内チャットルームを作り、情報共有をするようにしています。

 

このように、業種によって求められる顧客管理というのは、相当異なります。

 

自身の業界に適合した顧客管理方法は、先輩経営者か税理士など専門家に聞こう

顧客管理というと、ソフトウェアを導入したり、データベースを構築したりなど、月額の顧客管理サービスを契約するなど、様々な方式があります。

 

手法がたくさんあるため、どの方式が良いのかいろいろと迷うことがあるかもしれません。

 

一番無難なのは、先輩経営者なり、顧問税理士なりに、「業界では、顧客管理をどのようにして行っていますか?」「先生が顧問をされている事業者さんは、どのように顧客管理を行っていますか?」などヒアリングを行い、他の事業者が使って「良いな、これ」と感じた顧客管理手法を用いることです。

 

やはり、特定の顧客管理手法を用いるということは、それだけの理由・メリットがあるから行っているのです。

 

あくまで顧客管理は手段

ここまで書いてきておいて、少しハシゴを外すような言い方になりますが、「自分が顧客をきちんと理解・管理して、自分自身しか事業に関わっている人がいない」、そんな状態であれば顧客管理はメモ書きでも、頭の中でもいいのです。

 

逆に、2人以上で顧客の情報を共有する場合には、何らかの形で顧客管理の仕組みを作ることは重要です。

 

例えば、社長自身には丁寧に対応してくれる人でも、社員に対しては、あまり丁寧な対応ではない、という人もいるかもしれません。

 

また、コミュニケーション手段の多様化によって、顧客でも、

  • 現在のコロナ禍でも、対面で会うことを重視する人
  • テレビ電話などリモートでのコミュニケーションを好む人
  • 電話が好きな人・嫌いな人
  • 電話のコミュニケーションは苦手で、メールやビジネスチャットを好む人

など、コミュニケーションの手法だけでも「好き・嫌い」というのが多様化しています。

 

この多様化は、コミュニケーションだけでなく、様々な分野で生じています。

 

あくまで相手の望む手法を取る、望むサービスを提供する、そのためにも、一人社長を卒業した場合は、顧客管理が重要になると言えます。 

 

会社の固定費は、減らすことを常に心がける

会社設立をすると、少し油断をするとすぐに増えてしまうのが「固定費」です。

 

コピー機をリースしよう、社員を雇おう、月額サービスを導入しよう・・・、と、きちんと意識しないと、固定費はすぐに増え続けます。

 

特に、人件費や家賃などの、変動の要素が少ない固定費は、年単位で見るとかなりの出費になります。

 

そのため、会社設立初期から「固定費をできるだけ増やさない」「固定費になる要素を変動費にする」ということを考える必要があります。

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固定費を増やさない、減らすための根本的な考え方は?

固定費をできるだけ増やさない、減らすということを、口で言うのは簡単ですが、実現するのは非常に難しい面があります。

 

やはり、事業をしていると、目の前の仕事をこなすのにいっぱいいっぱいで、固定費の見直しなど「重要だけれども急ぎでない事項」というのは後回しになりがちです。

 

固定費を増やさない、減らすために重要な考え方をピックアップしてみましょう。

 

・固定費が加わる場合、「この固定費は本当に売り上げに貢献するか」を考える

固定費は、業績が悪化しても、基本的に削減することが難しい面があります。また、固定費を削減しようとすると、何らかのトラブルが発生する可能性もあります。

 

固定費を増やしていくのは簡単ですが、短期的・長期的に見て、この固定費は本当に売上に貢献するのだろうか、という視点で考えることは重要です。

 

・固定費を作らない、変動費にする

創業当初は特にですが、固定費をできるだけ作らないことが大切です。

 

オフィスは最小限のところなり、自宅にする、コピー機はリースではなくビジネスインクジェットなどの複合機を使う、社員の雇用ではなく外部サービスを使う、社員を雇う代わりに、業務委託として参画してもらい(実質的に雇用とみなされないよう、労働時間や場所に制約を設けず、あくまでビジネスパートナーとして関わってもらう)、必要に応じ社員なり、役員などのポジションに加わってもらうなど、工夫できる余地は多くあります。

 

・固定費の必要性に関して、見直しにくいものは特に慎重に考える

固定費の中でも、簡単に契約を見直せるサブスクリプションから、簡単には見直せない(見直すことで大きな負担が発生する)家賃、人件費、車・コピー機などのリース料まで、「見直ししやすい固定費と見直ししにくい固定費」が存在します。

 

固定費の中でも見直しやすいものはよいですが、一度固定費となると見直しにくい物は、契約の時点でしっかりと考えた方が良いでしょう。

 

固定費を払うことで、リターンがあることが明確ならばぜひ支出していべきですし、もし固定費を回収できる可能性がないものや、本質的に仕事の発展に繋がらないものに関しては、できるだけ入れずに考えた方が良いでしょう。

 

固定費は、放っておくと増大する可能性も少なくない

パーキンソンの法則に、「仕事の量は、完成のための時間を全て満たすまで膨らむ」「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものがあります。

 

 

固定費などの支出はまさにそうで、仕事が軌道に乗っていると、人員採用・社用車購入・良いオフィスへの引っ越しなど、様々なことをしたくなります。

 

しかし、経営というのはいい時期もあれば、そうでない時期もあります。

 

調子の良いときこそ、「この固定費は本当に必要か」「売上に繋がる本質的なものか」をしっかりと考え、支出を吟味していく必要があります。

 

例えば、SESのように、人を採用・育成し現場に投入すれば、売上が立つという明確な仕組みがあるのならば、積極的に人を雇っていくべきでしょう。

 

しかし、明確に売上に繋がるかわからない場合というのは、一度立ち止まって考え、有効性を検討、その上で決断するなど、慎重に考えましょう。

会社の資本金の目安って?

フリーランスをしていて、会社設立を考える人の相談にのると、「資本金はいくら用意すればいいの?」という疑問を持つ人が意外と多いです。

 

 結論からいうと、資本金は特にこだわりがなければ300万円(以前有限会社というのがあり、その設立下限)、また、会社で許認可などが必要な業種の場合は、それに合わせて(建設業なら500万円など)くださいというのが教科書的な回答です。

 

小売・製造などIT以外のビジネスを手がける先輩経営者などに聞いても、「資本金数十万というのは微妙だし、ましてや資本金数万かというのは、どうかと思うよね」という意見でした。

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会社の資本金、ほんとはいくら用意すればいいの?

ただ、資本金として現金にて300万円を出せるかというと、人によっては難しいケースもあるかもしれません。

 

その場合に取りうる手段として、

  • 数十万円・百万円などの資本金で割り切ってスタート
  • 車やパソコンなど「物で出資する」現物出資という手法を使い、現金の出資は数十万円でも、登記される資本金は数百万円(現物出資は500万円までOK)ということにしておく

 

という方法があります。

 

少額の資本金で割り切るという考えは、ITの中の一部業種など、設備投資がさほど必要でない業種で活用できます。

 

ITの場合は、相手に資本があるかというのは、気にする会社もあれば、ちゃんと仕事を仕上げてくれれば気にしない、という会社もあり、本当にケースバイケースです。

 

伝統的なビジネスと違い、「資本金が少ないから取引NG」という会社はそこまで多くありません。(ただ、資本金を気にする会社もあるので注意)

 

例えば、元々自分が個人事業主・フリーランスで、株式会社でない形態でも仕事を受注できていれば、資本金うんぬんはさほど関係ないでしょう。

 

既に取引実績や信頼ができているわけですから。

 

逆に、脱サラなどでゼロから会社設立という形になると、実績以外の方法で信用を担保する必要があり、その一つが「資本金の大きさ」と言えます。

 

資本金の現金が心許ない場合でも、「現物出資」という方法がある

出せる資本金が限られるが、土地家屋などの不動産、車や機械などの有形物、Webサイト・ソフトウェアなどの無形物を「現物出資」という形で出資することで、資本金を手厚くすることができます。

 

ただ、注意点としては、

  • 500万円を超えると裁判所の検査役などの厳格な調査が必要になり、費用もかかるので、現物出資は500万円未満がおすすめ
  • 現物出資を伴う場合は、価格の適正な査定のために、税理士など専門家に相談することを強くお勧め

と言えます。

 

現物出資は、所有物の名義が自分から会社に移転することになりますので、名目上は自分のものではなくなります。

 

ただ、自身が100%株主の会社などであれば、形式上名義が換わっただけで、実質としては自分のものであるということに変わりはありません。

 

資本金は少なすぎても問題だが、多すぎると会社設立時の費用が増える・税制優遇などがなくなるパターンも

資本金に関しては、少ない(数万円~数十万円)だと、信用を得にくいですが、逆に資本金がそれぞれ1,000万円、1億円を超える額だと、中小企業向けの優遇措置の対象外になったり、法人税が変更になります。

 

また、会社設立時は、登録免許税を国に納付しますが、株式会社の場合、最低15万円、合同会社の場合最低6万円納める必要があります。

 

登録免許税は、資本金額×0.7%で計算されます。

 

株式会社の場合、2,143万円以上だと上記の最低資本金を超え、合同会社だと、860万円以上で最低資本金を超えることになります。

 

このように、資本金が大きいことは信頼をプラスする証になりますが、一方で税金負担などが増えるということも念頭に置いておくことが重要です。

 

 

 

 

 

 

会社経営で気になる、補助金と助成金の違いって何?

会社を経営していると、経営者仲間や業者、税理士・社会保険労務士などから、「こういう補助金・助成金がありますよ」という話を聞くことがあります。

 

この補助金と助成金、どちらもおおもとは国から受けられるものですが、様々な面で補助金と助成金は異なります。

 

補助金と助成金の違いを考えていきましょう。

 

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補助金とはそもそも何?

補助金は、「機械に投資する」とか、現在であれば新型コロナ対策でアクリルパーディションを用意するなど、設備投資に対して活用します。

 

お金の出所は税金で、予算には上限や採択数の限りがあるケースが多く、財源や採択数を超えると、終了したり、内容の良い物から採択されていきます。

 

また、補助金の全体的な特徴として、募集期間が短い物が多いです。

 

2,3週間から長くても2ヶ月などで、1年に1回から複数回募集されます。

 

そのため、募集のタイミングをよく見ておかないと、「気がついたら既に今期の募集は終了していた・・・」というケースは案外あるものです。

 

また、補助金を申請する場合、担当窓口とのしっかりした打ち合わせが必要になる補助金も少なくありません。

 

採択期間前や採択期間の最中に申請窓口を予約、チェックをしてもらい、その後採択期間の間に提出する必要があります。

 

補助金は書類も複雑なため、採択期間の間だけで書類を用意するということは、非常に難しいです。

 

ITサポート補助金など、取得がしやすい補助金もありますが、額が大きい補助金ほど、基本的には難易度が高い物と思った方がよいでしょう。

 

また、特に補助金を申請する場合には、「自社としての事業計画の策定」が前提となるケースが多いです。

 

補助金は、「特定の事業を行いたい、その上で、こういう補助が必要、当社にはこのようなビジョンがある」という理由付けがかかせません。

 

補助金の原資は税金ですので、出したお金が本来の事業と違うところに使われたり、社会をよくするための方向と違うところに使われることがあってはなりません。

 

そのため、補助金を策定する上では、経営者自身やスタッフ・専門家を交えた事業のあり方の検討や、税理士・中小企業診断士・行政書士など書類作成のプロの助力が必要になります。

 

助成金とはそもそも何?

それでは、助成金とはどのようなものでしょうか。

 

シンプルにいうと、私たちが支払っている雇用保険を財源として、「人に対する投資」に対して支払われる助成です。

 

補助金とは違い、一年中募集しているタイプの物が多く、要件に当てはまっていれば基本的にはもらえる一方、「お金の使い道」に関してはしっかりと調査がされます。

 

たまに新聞や厚生労働省支局のページで○○助成金に関する処分という記事が出ることがありますが、基本的には虚偽申請や、もらったお金を違ったことに使うなどよほどのことがある場合です。

 

基本的には、厚生労働省が指定する要件に当てはまれば申請し、支給を受けることが可能ですし、条件さえ合えば何度でも申請することが可能です。

 

また、補助金に比べ助成金は申請の難易度が低いものが多く、経営者・事業主やスタッフが自分で行けば申請できてしまうものもあります。

 

ただ、実際の所は結構な手間がかかったり、社内体制の整備などができていないと行けないので、「社内体制の整備(労働規約・労使協定等の作成、各種手続きがなされているかの確認」等を社会保険労務士に依頼し、あわせて各種補助金の申請を社会保険労務士に依頼するという形がスムースかもしれません。

 

具体的には、

  • 週20時以上働くスタッフへの雇用保険の加入義務
  • 法人の場合や個人事業で一定人数を雇用している場合、社会保険の加入
  • 従業員を10人以上雇用している場合は、就業規則を作成

という点は必須になるでしょう。

 

補助金・助成金に関しては、経営者が関わるよりも、専任担当者を付け・専門家へ依頼するようにしていくことが、結果として経営者の負担も減るためおすすめです。

 

 

 

 

 

会社同士で共同開発を行う際の注意点

会社が軌道に乗ってくると、「うちの会社と一緒に○○しませんか?」とお誘いが来ることがあるかもしれません。

 

相手はスモールビジネスかもしれないし、著名なベンチャーかもしれない、もしくは大企業かもしれない。

 

どういう場合であっても、会社同士で共同開発を行う場合は、情報や内容等に関する注意・配慮・契約などが必要です。

 

今回は共同開発について触れていきましょう。

 

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共同開発におけるmustの3点

共同開発を行うということにおいては、ぜひ留意したい3つのポイントがあります。

 

  1. 秘密保持契約(NDA)を締結する
  2. 相手から契約書を差し入れられた場合は、弁護士にチェックをお願いする
  3. 共同開発で何を行うかを具体的に定義する

 

以上の3点は、特に留意すべきポイントと言えます。

 

特に、秘密保持契約の締結に関しては、ぜひ最初のところで、弁護士などの専門家も交え、NDAを作成した方が良いでしょう。(市販のひな形でもないよりは良いですが・・)

 

いくら気心の知れた事業者であっても、会社としては別の会社であり、「機密保持」という一線はしっかりと引く必要があります。

 

また、雑談でちょっと話したアイデアが、共同開発を行う会社や、共同開発を行う会社と通じた会社に流れてしまい、自社はアイデア・ノウハウなどを抜かれただけで用済み・・となってしまっては悲惨です。

 

そのため、秘密保持契約(NDA)はきちんと契約するようにしましょう。

 

相手(特に大企業)から出された契約書には注意する

契約の常として、「契約書を作る側が、自社に圧倒的に有利な契約書を作る」ということがあります。

 

特に大企業の場合は法務部門がしっかりしていますので、あらゆる角度で、自社に有利になるよう契約書を作り込んできます。

 

大企業が協業したいと言ってきているわけだから、そんな変な契約書ではない、という先入観を持ってはいけません。

 

あくまで弁護士などの専門家に契約書のチェックを受け、どの点にどういうリスクがあるかを判定してもらうことが重要です。

 

また、契約書の内容というのは、相手の差し出した内容をそのまま受け入れる物ではありません。

 

もし、リーガルチェックを経て、契約書として自社に不利な条項があれば、「ここはこう直して欲しい」など、「弁護士からこういう指摘を受けた」という文言を踏まえ、契約書の変更を提案した方がよいでしょう。

 

共同開発で何を行うかを具体的に定義する

ただ、「何かを一緒にやろう」というのは、企業同士の共同開発としてあまりにも曖昧です。

 

  • 共同開発は何を目的として行うのか
  • 業務の分担はどうするか
  • 費用負担はどのように負うか
  • 共同開発にそれぞれが自社のリソースをどれだけ割くか
  • 共同開発のゴールをどう設定するか
  • 共同開発を中止する場合やその際の費用負担・損害負担はどうするか

など、企業同士の共同開発においては、様々な事項を「契約書」という形で明確に定義しておくことが求められます。

 

この契約書に関しても、ぜひ弁護士に依頼し、精度の高い契約書を作成するよう心がけた方がよいでしょう。

 

共同開発となると、自社だけでなく相手方もいることから、なんとなく責任の所在が曖昧になったり、共同開発の目的が不明確だったり、お互いの役割分担が曖昧だったり等、全て自分で行うときとは違い、物事がなあなあになる可能性もあります。

 

逆に大企業やメガベンチャー相手の場合は、自社が完全に主従における従の立場になり、決定権を大企業・メガベンチャーが主導し、自社は下請的な立場になってしまうことも、可能性としてないわけではありません。

 

このように、共同開発を行う際も、他社と行うことだからこそ、最初の時点で様々なことを明確に定義しスタートすることが重要と言えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の資金調達、融資と出資、どちらがいい?

会社の資金調達方法としてメジャーなのは、金融機関から融資を受ける方法と、第三者などから出資をしてもらう方法です。

 

両方の特徴・メリット等を解説します。

 

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融資と出資の端的な違い

融資と出資の違いを端的に述べると、

  • 返済の必要があるか
  • 負債とみなされるか否か(会計上の扱い)
  • 出資を受けることで、創業者の決定権が他者に拘束される可能性もある

という点でしょう。

 

会計上の観点に関しては、ここでは触れずに、融資の返済・出資に関して書いていきます。

 

融資は返済の必要があり、経営者などの連帯保証が必要になるケースも

 

融資に関していると、借入ですので、返済義務があるのは当然です。

 

また、代表取締役や役員、実質経営者などが、借入の際に連帯保証をしたり、担保を差し入れることを要求されることがあります。

 

数年前より、経営者保証に関するガイドラインというのが策定されており、その中で資本と経営の分離がされていれば、代表取締役などを連帯保証から外すという動きもあります。

 

ただしこれは、弁護士・税理士など経営者保証ガイドラインに通じた専門家と連携しながら進める必要がありますので、創業当初の資金調達では、経営者の連帯保証のない融資というのは少し難しいかもしれません。

 

また、当然返済ができなくなると、金融機関が債権回収のフェーズに入り、返済できない場合は会社の民事再生や破産、代表者が連帯保証をしており返せない場合は連帯保証人の自己破産なども視野に入ります。

 

このように、当たり前のことですが、返済できなかったときのリスクがあることは心得ておいた方が良いでしょう。

 

また、当然ですが、借入に伴う利子の支払いの必要性もあります。

 

加えて、金銭消費貸借証書に記載されている期限の利益喪失事項(これに当てはまったら、すぐに全額返済してもらいますよ、という事項)に該当する場合は、即刻返済を行わざるを得ず、もし返済が不可能な場合は、経営破綻に直結する事態になる可能性もあります。

出資は返済リスクこそないが、経営権の一部を他者に渡すことになる

出資は借入と異なり、毎月継続して返済するなどの必要はない反面、会社の「株式」を出資者に渡すことになります。

 

現在の会社の株式を渡す、将来の株式の予約権(新株予約権)を渡すなどの方法がありますが、いずれにしても創業者の持株の比率は希薄になりますので、創業者の決定権は弱まることになります。

 

特に、創業者の持株比率が

  • 3分の2を下回ると、単独での特別決議に必要な議決権がなくなる
  • 過半数を下回ると、普通決議に必要な議決権がなくなる
  • 3分の1を下回ると、特別決議を拒否するために必要な議決権がなくなる

とされており、特に、創業者・仲間の持株比率が3分の2以上、過半数以上であるかというのは、決定権を大きく分ける分水嶺となります。

 

できるだけ3分の2の株式は、創業者自身や会社のボードメンバーで有しておくことが重要ですし、株式の過半数に関しては、経営の独立性を保つための非常に重要なラインになります。

 

そのため、持株比率3分の2~過半数は、経営の決定権を持つためにも、守り抜くようにした方がいいと言えましょう。

 

結局、会社の資金調達、融資と出資、どちらがいい?

ここまで書いてきてなんですが、結論はケースバイケース、というところです。

 

あくまで堅実なビジネスとして100%株式を自分で持ち、オーナーとしてやって行きたい場合は、融資を活用するべきですし、逆にベンチャーなど社会的に大きな変革を行う事業の場合は、第三者・ベンチャーキャピタルから出資を受けると共に、VCや出資者と二人三脚でやって行く必要があるでしょう。

 

ベンチャーキャピタルも、慈善事業で出資を行っているわけではありません。

成長の可能性がある企業でないと、出資を受けることは難しいでしょう。

 

また、ベンチャーキャピタルと契約するときは、出資にかかるガチガチの契約書を締結するケースがほとんどと思いますので、契約条項や、相手が何年くらいでのEXITを想定しているかなどを考え、覚悟を決めて出資の受諾をすることが必要でしょう

 

 

 

 

 

 

会社設立後の法的なトラブルを防ぐ基本的な考え方

会社経営というと、いろいろな落とし穴があります。

 

成長途上の場合はともかく、ある程度実績が出始めると、いろいろな方面から声がかかったり、つながりができはじめます。

 

これが問題のないつながりであればいいのですが、万一相手が反社会的勢力など問題のある人や、関係がある会社であったりすると、様々な意味でトラブルになることがあります。

 

また、業務の契約に関する契約書上のトラブルや、契約書を結ばなかったことによるトラブルなど、法的トラブルというのはけして軽視できる物ではありません。

 

法的トラブルを防ぐ上で重要な考え方をシンプルにまとめます。

 

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法的トラブルを会社設立初期から防ぐシンプルな4つのルール

法的トラブルと言っても、契約上の問題、訴訟を受けた、損害を与えられた、反社会的勢力と関与してしまったなど様々なケースがあるかと思います。

 

トラブルの形は複数ですが、基本としては、

  • 契約は口約束にしない。契約書は熟読して納得してから印鑑を押す
  • うまい話はない
  • 違和感を感じたら、弁護士など法律専門家に相談する
  • 関わる相手を限定する

という4つの点に気を配ることが基本かと思います。

 

契約は口約束にしない。契約書は熟読して納得してから印鑑を押す

創業初期にありがちなのが、仕事の約束を口約束で行ってしまうこと。少額の取引であれば、メールなどでも問題はないですが、長期・金額の大きい取引であれば契約書を作成することが大切です。

 

また、相手方から契約書を差し入れられた場合、契約内容はまず間違いなく、「相手方にとって有利な内容」になっています。

 

特に重要な契約の場合は、弁護士のリーガルチェックを入れるなどした方が良いでしょう。

 

うまい話はない

あまりにも当たり前すぎる話ですが、自分の会社の経営がいまいち、と言うときにおいしい案件が来ると、飛びつきたくなるかもしれません。

 

特に、現状がうまく行っていないと、判断能力が鈍り、一発逆転的な話や、荒唐無稽な話に騙されてしまう可能性もあり得ます。

 

話が理想的であればあるほど、「なぜこのクライアント(人)は、この話を持ってきたのか?」を冷静に考え、時には友人や弁護士などにセカンドオピニオンを得る必要があると言えます。

 

違和感を感じたら、弁護士など法律専門家等に相談する

法務・税務・労務などバックオフィス周りに限らず、「あれ、大丈夫か?」と感じたら、専門家に相談することです。

 

法務であれば弁護士、税務であれば税理士、労務であれば、社会保険労務士というふうに。

 

多くの会社は税理士・社会保険労務士とは顧問契約を結んでいるとは思いますが、法務に関しても、スポット相談で都度報酬を支払い質問したり、顧問契約を締結するなどして、「疑問に思うことを相談できる環境」を作った方が良いと言えます。

 

関わる相手を限定する

人脈・人脈と関わる人を広げようとすると、反社会的勢力や詐欺まがいの行為を行う人物などと関わってしまう可能性もゼロではありません。

 

特に、詐欺師ほど外面はいいですので、油断していると取り込まれてしまう恐れもあります。

 

加えて、華美な生活をSNSで見せびらかしているタイプの人は、特に注意した方が良いでしょう。

 

そういう人と関わりがあるだけでも良識を疑われる恐れがありますし、自信も「インスタでセレブ生活を見せびらかしたり、それに憧れるグループ」と思われる可能性もあります。

 

屏風を広げすぎると倒れるのと同じで、人脈も変に広げるのではなく、自社の強みを磨き、その強みを正当に評価してくれる、まっとうな人・法人と関わっていった方が良いと言えます。

 

また、人脈の広い人に限って、マルチまがい商法・投資など社会的評価の分かれるビジネスに関わっているケースもありうるものです。

 

実際、元有名企業の社長・役員であったという人であっても、ごく一部ではありますが、マルチなどに関わっている、もしくはその噂があるケースもあります。

 

自分自身が不当な誤解を受けないためにも、交友に関してはきちんと考えて行った方がよいでしょう。

 

 

 

 

 

法人と個人事業の信用度の違いを考えてみた

よく、法人と個人事業は信用度に違いがあると言われます。

 

当然、会社としても、一個人事業主と取引するより、法人と取引した方が信頼性が高いというのは想像が付きます。

 

でもその理由を具体的に説明せよと言われると、多くの人が「うーん」となると思います。

 

そこで、法人と個人事業の信用度が違う理由を考察してみましょう。

 

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会社はあらゆるデータがクリアであるという事実

個人事業と比べて、会社の場合は、様々なデータが公開されています。

 

「資本金」「登記簿に役員・法人の所在地の記載」「(株式会社に限られるが年1度の決算書の公告義務」「個人事業と違い、所有と経営が分離されている」など、様々なデータが公に公開されています。

 

また経営と個人が概念上は分離されているため、個人は個人、会社は会社と明確な分離が行われています。

 

事業の永続性や許認可の継承も、法人の方が有利

加えて、事業の永続性や免許(許認可)という点でも、法人の方が有利と言えます。

 

まず、免許(許認可)という点では、個人事業の場合、代表者に対して免許が与えられるものの、代表者が亡くなるなど万一の事があれば、再度許認可を取得する必要があります。

 

一方法人であれば、許認可が法人に対して与えられているため、許認可の引き継ぎは個人のケースより容易になります。

 

事業の永続性という点でも、個人事業の場合は経営者=個人という側面が極めて強いですが、法人の場合は必ずしも経営者=事業の株式の所有者ではない、「経営と資本の分離」が実現されていますので、全く資本を有していない人物が経営に代表取締役として経営に参画するなどあっても問題はありません。

 

資本(株式)を有していても、仕事がある程度軌道に乗り、創業者の自分がいなくても大丈夫、とわかれば、有能な人物を経営に参画させ、自身はファウンダー・株主として存在し、事業には最小限しか関与しない、ということもできるのです。

 

融資を受ける際にも、法人が有利

日本政策金融公庫・金融機関から融資を受ける場合も、法人が有利です。

 

なぜなら、上記で述べたとおり、会社が登記されているという公的な証明があり、元々社会的信用力があるからです。

 

また、融資を申請する際も、元々会社の決算書類は複式簿記で作成されていますので、金融機関側としても、資料として信用しやすくなります。

 

法人の場合、ハードルは高いが、代表者が借入の連帯保証人にならなくて良いケースも出てきている

 

これまでは融資を受ける際に、代表取締役や実質的経営者が連帯保証人となることを求められるケースが多かったですが、「経営者保証に関するガイドライン」という指針ができ、「法人の借入に対する経営者の連帯保証は外していこう」という方針が明確になりました。

 

そのため、お金を借りる際も、個人事業だと当然自分の名義で借り入れするしかありませんが、法人だと、法人の名義、しかも代表者の個人保証がないケースで借りられる可能性もあります。(ただ、あくまで可能性であり、従来と同様、個人保証を求められる可能性もあることは承知しておいて下さい)

 

いずれにせよ、以前に比べ、金融庁など公的機関も「個人保証によらない融資」を求めており、今後も個人保証を減らしていく、という流れは強まっていくのではないかと思います。

 

このように、法人は信用度の高さだけでなく、制度上、経営者に対し有利になる仕組みも作られています。

 

ただ、このような制度に関する情報を、経営者個人が仕事をしながら集めていくことは、非常に大変です。

 

会社設立を専門とする事業者や、税理士・社会保険労務士・弁護士など、複雑な制度に精通したブレーンの力を借りることで、あらゆる制度を活用した、効率的な経営を実現することができるでしょう。

 

(参考書籍:らくらく個人事業と株式会社 「どっちがトク?」がすべてわかる本)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

法人と個人事業、どちらが節税になる?個人事業を法人にした方がいいケース。法人のメリットは?

前回での記事は、法人と個人事業の違いなどを書きました。

 

法人と個人事業の違いというのはよく聞かれます。

 

よくある質問の一つとして、「会社を法人にすることで、節税になるって聞くけど、具体的にはどういうことなの?」という事項があります。

 

確かに、個人事業である程度売り上げが立ったら、法人化するといいということはよく聞かれます。

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一般論としては、所得が500万円を超えたら、法人化する方がお得

本当は、法人化一つにしても様々な条件があるので、「このときはこう」とストレートに言いにくい所があります。

 

一般論でいくと、売上から経費を引いた額にあたる「所得」が500万円を越えたら、法人化をした方がお得になってくると言えます。

 

所得500万円のケースだと、個人事業の場合、所得税・住民税・個人事業税などを計算すると、ざっくりと88万円近くの税金がかかると言われています。

 

一方会社だと、法人税の対象にはならず、法人住民税が70,000円、事業はゼロ、所得税・住民税なども含めると、おおよそ60万近くの税金になります。

 

ただ、これは社会保険料の負担などを計算に入れていないため、社会保険料負担も考えると、計算が変わってくることが想定できます。

(参考書籍:らくらく個人事業と株式会社 どっちがトク?がすべてわかる本)

 

さらに、所得が1,000万円を越えると、個人事業では約269万円の税金、法人では約189万円の税金と、所得が上がれば上がるほど、個人より法人の方が特になっていきます。

ここまでくると、社会保険料などの支払いも含めても、法人化の方が確実にお得なゾーンと言えます。

青色申告を行う際、繰越損失が長いのも法人のお得なポイント

会社を設立すると、信用や節税の面などに目が行きがちになりますが、意外と見落としやすい会社設立のメリットとして、「青色申告を行えば、会社の場合は9年間赤字を繰り越すことができる(その後の黒字は、これまでの赤字と相殺し、節税できる)」というメリットがあります。(個人事業で青色申告を行っている場合は3年間)

 

9年も赤字を繰り越すというケースって・・・、と考えそうになりますが、今現在のコロナ禍で、想定を大きな損失が発生している企業も多いですよね。

 

一旦金融機関より融資を受けて、手元の現預金を確保することはできても、2020年の新型コロナウイルスの影響により生じた損失を取り戻すには、売上を挙げていくことが前提になります。

 

その際、3年間までしか損失を繰り越せない個人の青色申告と、9年間損失を繰り越せる法人の青色申告と、どちらが有利かは一目瞭然ですよね。

 

このように、税率や信用以外にも、個人事業より会社がお得なケースも多いのです。

 

会社は生命保険料の一部・もしくは全額を損金にできるというメリットも

個人事業の場合、事業主自身が被保険者になる保険は、損金にならず税務上不利になります。

 

一方、会社の場合は保険料の一部もしくは全額を損金扱いにできるため、個人事業主として保険に加入するより、法人で加入した方が節税ができるようになります。

 

旅費交通費の出張日当も、法人なら経費にできるが、個人事業主は経費にできない

仕事をしていると(現在は新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか出張というのも減りましたが・・・)出張日当を経費にできる法人は便利です。

 

個人事業主の場合は、旅費交通費として支払った実費額を必要経費とできる一方、出張日当などを支払った場合においては、必要経費とすることができません。

 

しかし、法人であれば、出張旅費規程を作成することで、規定した額を全額必要経費とする事ができます。

 

他にも、法人ならではの節税・お得になるポイントを挙げるときりがないですが、一定の所得になれば、法人化を行った方が、いろいろな意味で有利になると言えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社を設立するのと、個人事業とどちらがいいのと聞かれたので、個人的な印象を書いてみる

最近、会社勤めの友人や知人から、「フリーになるにしても、会社作る人と、作らないで個人でいろいろやっている人がいるよね。あの違いってなに?」

と聞かれました。

 

確かに、会社勤めでフリーランスや経営者になった経験がないと、なかなか会社設立するのと、個人事業のままで行くことの違いってわからないよな、と思うので、

 

  • 会社を設立するのと個人事業の違いって?

という部分に、何回か分けていろいろ触れていきたいと思います。

 

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会社設立と個人事業の違いのシンプルな雑感

まず、会社を設立する事と、個人事業を行うことの違いで大きな要素は、

  • 個人事業は書類一枚(開業届)+青色申告承認申請書を出せば始められる
  • 会社設立は、設立費用が30万円近くかかるし(株式会社の場合)非常に面倒な手続きがある

 

と言う点で、個人事業は意外と敷居が低く、逆に法人化(会社設立)は敷居が高いということが言えます。

 

このように楽に始められる個人事業なのですが、「社会的信用」や「世間の聞こえ」という点では、正直きついかな・・・、というのが率直な所です。

 

法人化すると、回りの聞こえが全然違う

 

極端な例ですが、個人事業をしている人が「フリーランスです」と言うのと、実質一人会社だけど法人の代表取締役をしている人が「○○株式会社の社長です」というのでは、全然聞こえが違ってきますよね。

 

会社設立は、設立手続きや会社ならではの税務など、ややこしいことをやる必要はありますが、その分社会的信用度も違います。

 

詳しい人なら、資本金や業態・規模を調べて「これはフリーランスに近いな」ということがわかるかもしれません。

 

しかし、意外と世間というのはイメージで判断しがちで、極端な人では「個人事業主・フリーランス」をフリーターと混同し、一方で会社の代表取締役であれば、「社長なのですごい」と思ってくる人もいます。

 

ある程度知識のあるサラリーマンでも、従事する分野によっては、こんなものだったりします。

 

0から始めるなら個人事業もいいけど、ある程度目処が立ったら法人化しよう

 

ただ、いきなり会社設立を薦めるかというと、必ずしもそうではありません。

 

「クライアントが法人でないと取引できないと言っている」など、既にルートが開拓できており、しかも相手が法人化を求めている場合でもない限りは、個人事業からのスタートが無難かと思います。

 

人によっては、「起業に対する覚悟を決めるために法人化すべきだ」みたいな話をする人もいますが、このへんは事業を興す人自身の自覚の問題ですし、「○○すべき」という強い論調に引っ張られても、あまり意味はないのでは、というのが率直な所です。

 

もちろん、ベンチャーキャピタルなどから出資を受けるなど、人様のお金を預かって行う場合は例外で、事業に対し本気で取り組むことは必要です。

 

でも、あくまで自分で0から始めますというケースでは、無理がないようにやって行くことが、長い目で見ると良いのではないかと思います。

 

もちろん、事業が拡大し、信用のさらなる構築や節税などの課題ができてくれば、その時点では会社設立を積極的に考えていく必要があるでしょう。

 

もし法人化か個人事業かで悩んでいるのであれば、まず仕事を取るところから始めてみよう

法人がいいか、個人事業がいいかという、ニワトリが先か、卵が先か的な事で悩んで時間を消費するのはもったいないです。

 

それよりも、とりあえず開業届だけでも出し、まず仕事を取ってくる、そういう「仕事を得る、そして仕事を完成させ、信頼を少しずつ積み重ねていく」部分にエネルギーを注いだ方が良いでしょう。

 

どんな仕事でも、まず自分で仕事を得て、実績を挙げることが次に繋がります。

 

いくら社長であっても、仕事がなければ「名ばかり社長」でしかありません。

 

まずは何でも仕事を得る、そこがスタートラインです。

 

法人と個人事業の違いの話になると、いくらでも話が出てくるので、今後も折を見て、触れていきますね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の代表取締役の住所は、第三者でも簡単に調べられてしまう問題

こんにちは、さいもーです。

 

ご存じの方も多いとは思うのですが、代表取締役の住所というのは、第三者でも、法務局で数百円を支払い、登記簿を取得すると調べることができます。(以前はオンラインでも可能であったが、現在は一般向けのオンラインサービスでは表示されない仕様に)

 

個人情報にうるさい人なら、「住所という個人情報が第三者でも取れるなんてけしからん!」となりそうなのですが、昔からこういう仕組みになってしまっています・・・。

 

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なぜ会社の代表取締役の住所が、法務局で取得できてしまうのか?

法律上では、会社法で、代表取締役の氏名・住所を登記することが義務化されており、登記簿謄本(全部事項証明)を取得すると、第三者でも代表取締役の氏名・住所を調べられてしまいます。

 

これは本来、

  • 訴訟が提起された場合、会社の事務所がない(消滅)場合でも、代表取締役の住所に訴状を送付できるようにするため
  • 会社の計画倒産や詐欺被害で、民事・刑事での責任追及をするために、代表者の住所は必要

など、会社と取引をする第三者や、被害を受けた第三者の権利を守るために行われていることであります。

 

また、

  • 登記に関する手続きの書類が会社に送れなかった場合に自宅へ送付する
  • 登記を怠る、いわゆる登記懈怠の通知などを行う際に代表取締役の住所・氏名が必要

という事情もあります。

 

ほかにも登記事項証明書には、資本金や事業目的、役員の重任・退任などが書かれており、どれくらいの資本があるか、どんな事業を行っているか、役員の動きが頻繁ではないかなど調べられるようになっています。

 

ただ、起業をする側としては、「氏名+住所」という情報を、第三者でも閲覧できてしまうと言うのは、正直あまり気分のいいものではないですよね・・・。

 

ただ、当面は「こういう仕組みなんだ」と割り切って対応する必要があります。

 

意外と忘れがちな、代表取締役の氏名・住所変更の登記忘れに注意!

さきほど、代表取締役の氏名・住所は公開されていると書きましたが、結婚で姓が変わったり、事情で改名をしたり、引っ越しをした際には、2週間以内に法務局へ氏名もしくは住所の変更届を出す必要があります。

 

2週間を過ぎても、手続き自体はできますが、あまりに遅い場合などは、登記懈怠(とうきけたい)ということで、代表者個人に対して100万円以下の過料が課されることになっています。

(実態としては、数万円から10万円くらいが一般的なようで、いわゆる「前科」にはなりません)

 

住所の変更もですが、結婚により姓が変わった場合など、姓名が変更になった場合も、変更登記の手続きが必要ですので、司法書士に依頼するか、法務局で手続きを行う必要があります。

 

さすがに手続き忘れで、少なくない過料を科されるのはもったいないというのが正直なところです。手続き忘れがないよう、注意しましょう。

 

今後も、代表取締役の登記事項証明書への住所記載は変わらない方向?

一時期、プライバシーの関係等を考慮し、登記事項証明書でも、代表者の住所を確認できないようにするべきだ、という意見がありましたが、現状の所では、変更しないという方向性のままのようです。

 

プライバシーに極端にこだわる人であれば(有名人など)、セカンドハウスなど普段住まない所に住民票を置き、印鑑証明書でセカンドハウスの住所を示すというケースもあ想定し得ますが、居住実態が曖昧な場所を住所として届け出ることは、コンプライアンスの面で微妙と言えます。

 

また、アパート・マンションの場合は、当記事にマンション名・部屋番号を記載するかしないかは自由ですので、登記の際に、会社設立の代行業者さんや司法書士さんに確認した上で、部屋番号を登記しないことも可能です。

 

いずれにせよ、代表取締役の氏名・住所は、法務局で取得できるという事実は抑えておいた方がいいですし、これから会社を設立する人で気になることがある場合は、会社設立代行事業者、司法書士に相談するのが確実です。