起業が成功しやすい大学生の特徴と学生起業の成功例

前回から大学生の起業について解説しています。

1回目では、メリット・デメリットをご紹介しました。

 

今回は、起業が成功しやすい大学生の特徴と、大学生で起業に成功した人の例をいくつかピックアップします。

 

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起業が成功しやすい大学生の特徴

起業が成功しやすい大学生には、共通する次のような特徴があります。

  • 仲間が多い
  • 情報収集能力が高い
  • コミュニケーション能力が高い
  • ITに強い

 

仲間が多い

仲間が多い大学生は、起業が成功しやすい傾向があります。

仲間との会話の中で、大学生が持っている疑問や不満、要望などをより多く吸収し、また、話し合うことでビジネスのヒントが得られることも多くなります。

起業のアイデアや試作品の感想を聞いたり、イベントなど人手が必要な時には、直接手伝ってもらったりすることも可能になります。

 

情報収集能力が高い

情報収集能力は、起業家に限らず、今やすべての社会人に必須の能力であるといえます。

情報収集によって、現在の流行や、これから流行するものをいち早くキャッチすることができ、それはそのままビジネスチャンスにつながります。

また、さまざまな知識や技術、社会情勢にも詳しくなり、起業の成功に向けたロジックに応用しやすいこともあります。

 

コミュニケーション能力が高い

コミュニケーション能力も、現代の社会人に必須の能力であるといえます。

ビジネスは人と人のつながりの中で回っていくものですが、さまざまな技術が発達して、直接会って話をすることが少なくなった現在、余計にコミュニケーションをどう取るか、ということが課題になっています。

そのため、コミュニケーション能力の高さは、顧客や取引先との関係において、とても良い影響を与えますから、それだけ成功に近づきやすくなります。

また、学内において、その道の専門家である教授などにも、コミュニケーション能力の高さで質問などが気軽にできるという利点があります。

 

ITに強い

現在在籍している大学生は、物心ついた時からITが身近にあったZ世代であり、ITにアレルギーを持っていませんが、その中でも特にIT関連に興味が深い、先端技術に詳しい、いわゆるITに強い大学生は、起業が成功しやすい特徴を持っているといえます。

現在のビジネスは、どのような分野のものであっても、多かれ少なかれネットの活用が必須となっているため、ITに強い方が成功しやすい傾向は、今後もますます強まっていくと考えられます。

 

大学生で起業に成功した人の例

ここからは、大学生で起業に成功した例について紹介します。

 

株式会社Labit

株式会社Labitは2011年、鶴田浩之氏が慶應義塾大学在学中(当時20歳)に創業しました(後述する西尾健太郎氏との共同創業)。

本に特化したフリマアプリ「ブクマ!」などを運営しています。

鶴田氏はIT起業家として著名で、最初の企業は16歳、現在はメルカリグループの経営に携わりながら、新しい起業も行っています。

 

株式会社メタップス

イーファクター株式会社(現:株式会社メタップス)は2007年、佐藤航陽氏が早稲田大学法学部在学中(当時21歳)に設立しました。

SEOなどのマーケティングコンサルティングの他、クーポンサイト「TOKUPO」、アプリ収益化プラットフォーム「metaps(メタップス)」の運営を行っています。

同社は、2015年に東証マザーズに上場を果たしています。

 

株式会社Gunosy

株式会社Gunosyは2012年、福島良典氏が東京大学大学院在学中(当時24歳)に創業しました。

情報キュレーションサービスを提供する同社は、創業より約2年半で東証マザーズに上場(現在東証一部に変更)しました。

2018年に代表取締役を退任、ブロックチェーン事業の関連会社、株式会社LayerXを立ち上げ、代表取締役に就任しています。

 

BASE株式会社

BASE株式会社は2012年、鶴岡裕太氏が大学在学中(当時22歳)に設立しました。

Eコマースプラットフォーム「BASE」やオンライン決済サービス「PAY.JP」、ID型決済サービス「PAY ID」の企画・開発・運営を行っています。

同氏は2016年、「Forbesが選ぶアジアを代表する30歳未満」の小売&Eコマース部門に選出されています。

 

株式会社Progate

株式会社Progateは2014年、加藤將倫氏が東京大学在学中(当時21歳)に設立しました。

オンラインプログラミング学習サービス「Progate(プロゲート)」を運営、初心者が気軽にプログラミング学習をスタートできる教材として、ユーザー数は2020年7月現在で150万人にものぼります。

加藤氏も2018年、「Forbesが選ぶアジアを代表する30歳未満の30人」に選出されています。

 

株式会社リブセンス

株式会社リブセンスは2006年、村上太一氏が早稲田大学在学中(当時20歳)に設立しました。

成功報酬型アルバイト求人サイト「ジョブセンス(現:マッハバイト)」や「転職ナビ」「DOOR賃貸」などを運営しています。

2011年に東証マザーズに上場(現在東証一部に変更)し、史上最年少(当時25歳)の上場企業経営者として有名になりました。

 

株式会社ゲームエイト

株式会社ゲームエイトは、首都大学東京(現:東京都立大学)在学中に鶴田浩之氏と株式会社Labitを共同創業した西尾健太郎氏が2014年に創業しました。

同社は、月間4,200万ユーザー、5.2億PVがある国内最大級のゲーム総合情報サイト「game8.jp(ゲームエイト)」を運営しています。

2015年に株式会社Gunosyへ売却、現在は100%子会社となっています。

 

株式会社Candle

株式会社Candleは2014年、金 靖征氏が東京大学在学中(当時20歳)に創業しました。

同社は、女性向け総合Webメディア「MARBLE」などを運営していましたが、2016年にクルーズ株式会社に事業を12.5億円で売却、一躍若手起業家として注目を集めました。

 

 

今回は起業が成功しやすい大学生の特徴と学生起業の成功例をご紹介しました。

この記事を読んでいただいた人であれば必ずと言えるほど知っているであろう有名企業の名前も上がっていたのではないでしょうか。

 

この記事が起業を目指す人のお役に立てれば幸いです。

 

 

 

大学生が起業するメリット・デメリット

総務省の「就業構造基本調査」によると、学生の間に起業したいと考えている人は多いものの、実際に行動に移している人は少ないことが明らかになっています。

それは、学生起業についての情報が限られていることも大きな要因であると考えられます。

 

そこで、大学生の間に起業するメリット・デメリットや起業するときの流れ、成功するためのアイデアや事例などについて、今回から3記事に分けて簡単に解説します。


起業する際の情報を少しでも多くお伝えできれば幸いです。

 

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大学生が起業するメリット

大学生が起業するメリットには次のものがあります。

  • 自由度が高い
  • リスクが少ない
  • 体力がある
  • ネットワークがある
  • 若いということ

 

自由度が高い

大学生は、さまざまな自由度が高いため、起業に際して次のような多くのメリットがあります。

  • 時間の自由
  • 知識の自由
  • 経験の自由
  • 空間の自由
  • お金の自由
  • 発想の自由

 

時間の自由

まず、大学生は社会人や高校生、主婦などに比べ、とても多くの自由な時間があります。

時間はお金と同じ位貴重なもので、起業に最も必要な「考える」「行動する」ということに使える時間が多いということは、とても大きなメリットです。

 

知識の自由

大学生は、起業に当たって知らないことが多いのは当然です。

しかしその分、知らないことを調べたり、知識を習得したり、資格を取ったりする時間や環境が整っています。

多くの社会人が「学生のうちにもっと勉強しておけばよかった」と切実に思っています。

 

経験の自由

大学生には、起業をしたいと思う事業について、ほとんど経験がありません。

そのため、起業に当たっては、アルバイトやインターンシップなどで、その経験を積むのがベストなのですが、大学生にはそれを行う自由があります。

生活費を稼いだり、家族の世話をしたりする必要がないため、ボランティアでも構いません。

やる気になれば何でもできる、そういう自由が大学生にはあります。

 

空間の自由

都会の学生が、農業やリゾートなど地方に関係する起業を考えているとき、逆に、地方の学生が、大都市での事業を検討しているとき、また、海外との取引や海外での起業を企画しているとき、春期や夏期の長い休みを利用して、実際に現地に行って情報を得るなど、さまざまな行動をすることができます。

これは、大学生ならではの大きなメリットであり、成功への近道でもあります。

 

お金の自由

起業にはお金がかかります。

大学生にその資金が潤沢にある訳ではありませんが、アルバイトをする自由な時間があります。

起業をしたい分野でアルバイトすれば、経験とお金の両方が一度に手に入ることになります。

 

発想の自由

大学生にはビジネス経験がありません。だからこそ、先入観のない自由な発想ができます。

Microsoftを創業したビル・ゲイツや、Facebookのマーク・ザッカーバーグも、その自由な発想が世界一の企業に成長する源泉となったのは言うまでもありません。

 

リスクが少ない

大学生は、親から生活費の面倒を見てもらっていることが多いので、利益が全く出なくても生活に困ることはないため、金銭面でのリスクが少なく済みます。

また、発生した利益を報酬として受け取らずに、全て事業に再投資することも可能です。

今後のことを考えて、利益を貯めておく(内部留保といいます)ことも学生のうちは必要ありません。

さらに、最終的に起業したビジネスが失敗してしまっても、新卒で就職してしまうこともできます。

こうして、リスクを恐れずに事業に立ち向かえるのはとても大きなメリットです。

 

体力がある

起業には体力が必要です。

実際に体を動かすビジネスではなく、パソコンでのプログラミングだけであっても、長時間に及ぶことになりますので、体力のある大学生の方が、断然メリットがあります。

また、体力があるということは、疲労の回復も早いので、それも大きな利点であるといえます。

 

多種多様なネットワークを作りやすい

大学生には、周囲に人がたくさんいます。
新たな友達や知り合いも作りやすいので、起業に当たっては、こうした人々がネットワークとして機能してくれます。

起業のアイデアの感想を聞いたり、事業のヒントをもらったり、試作品を実際に使ってもらったりすることが可能で、起業した後も、顧客になってもらうようにお願いしやすいなどのメリットがあります。

 

若いということ

大学生で起業すると、周囲の起業家や取引先は皆先輩ですから、どんなことでも教えを乞うことができます。

「こんなことも知らないのか」と相手が思うようなことでも、「若いから知らなくても仕方ない」と勝手に思ってくれることもあります。

ビジネスに失敗はつきものです。だからこそ、失敗することも恥をかくのも、若いうちにしておくことが有利になるのです。

 

 

大学生が起業するデメリット

大学生の起業にはメリットが多いですが、次のようなデメリットもあります。

  • 知識や経験が少ない
  • 学業との両立が難しい
  • 他の経験をする時間が減る

 

知識や経験が少ない

大学生が起業する際に、知識や経験が少ないのは当然ですが、すでにお伝えした通り、それらを得る時間や機会がたくさんあるにもかかわらず、それをしなかったことで、デメリットになるということです。

たとえば、基本的なビジネスマナーは、ネットや書籍などで簡単に学ぶことができますが、これを怠ると、顧客や取引先に対して失礼な言動をしてしまい、ビジネスがうまくいきません。
こうしたことについて、相手はいちいち指摘してくれないので、自分では気づかないことが多いのです。

また、知識や経験が少ないことで、不利な条件で契約をしてしまったり、知らずに法令違反をしていたりすることもあります。

 

学業との両立が難しい

起業をすると、仕事に集中せざるをえないのは当然ですが、仕事をしているのがとても楽しく、大学での勉強がとてもつまらないものに感じることがあります。

そのため、学業に身が入らず、単位の修得が疎かになり、結果的に休学や中退を選択する学生起業家が多いようです。

学歴だけで人を判断するのは良くないですが、人の判断基準はそれぞれなので、大学中退と聞いて、中途半端な人だなと感じる人が存在することも確かです。

 

他の経験をする時間が減る

大学生は、最も自由な時間がある期間でもあります。

友達や仲間との行動、趣味やサークル活動、海外など長期間の旅行、留学、免許や資格の取得、読書やボランティアなど、自分の幅が広がり大きく成長する経験を、起業をすることで制限されることになります。

何歳になっても、いつでもできることであっても、大学生の間にするからこそ得られる経験もあります。

 

 

大学生の起業についての1回目では、メリット・デメリットをご紹介しました。

次回は、起業が成功しやすい大学生の特徴や大学生で起業に成功した人の例をみていきたいと思います。

個人事業主が確定申告を税理士に依頼するときの費用相場・税理士選びのポイント

個人事業主の人が税理士に依頼すると高い報酬や顧問料を払わなくてはいけないだろうと、躊躇してしまう方もいらっしゃいます。

 

そんな方のために、今回の記事では税理士に依頼するときにかかる費用と流れについて詳しく説明していきます。

 

税理士を選ぶポイントもまとめていますので、税理士を選ぶときの参考にぜひ取り入れてみてください。

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個人事業主が確定申告を税理士に依頼した場合の費用相場

確定申告を税理士に依頼するメリットはとても大きいことだと思っていても、費用がどのくらいかかるかわからないと依頼するには不安ですよね。

 

ここでは、個人事業主の方が確定申告を税理士に依頼した場合の費用相場をまとめていきます。

 

税理士に依頼する費用はそれぞれの売上によって変わってきます。

 

売上が高ければ高いほど、確定申告の作業も増えてくるからです。

 

 

申告書の作成のみを依頼する場合

日々の仕訳などの記帳作業は自分でやり、確定申告の申告書のみを税理士に依頼するケースでは、かかる費用は数万円で済む場合が多いです。

 

売上 税理士の料金相場
500万円未満 約3万円
500万円以上1,000万円未満 約5万円
1,000万円以上3,000万円未満 約10万円
3,000万円以上5,000万円未満 約15万円

 

会計ソフトを使って仕訳ができる方は、申告書も自動で作成できるため、税理士に依頼するメリットは少ないかもしれません。

 

また、税理士によっては、申告書のみの依頼は断られる場合もありますので確認をしてみてください。

 

記帳と申告書の作成を依頼する場合

記帳も込みで税理士に確定申告を依頼する場合、売上によって以下のように料金が異なってきます。

 

売上 税理士の料金相場
500万円未満 5万円~10万円
500万円以上1,000万円未満 10万円~15万円
1,000万円以上3,000万円未満 15万円~20万円
3,000万円以上5,000万円未満 20万円~25万円

 

税理士の報酬はそれぞれの事務所で自由に設定ができます。

 

そのため記帳の費用、申告書作成の費用など税理士事務所によって金額設定は様々です。

 

極端に高い場合や安い場合はその理由を聞いたうえで決断しましょう。

 

顧問税理士として依頼した場合

顧問税理士とは、長期的な事業のサポートを目的として毎月顧問料を払い、顧問契約を取り交わした税理士のことです。

 

節税を効果的に行えることや、資金調達において有利になる等のメリットがあり、継続的なサポートが期待できます。

 

顧問税理士の報酬は売上と定期訪問の回数によって異なってきます

 

今回は半年に1回訪問した場合の料金で比較していきましょう。

 

売上 料金相場(半年に1回の訪問)
1,000万円未満 月額10,000円~
1,000万円以上3,000万円未満 月額15,000円~
3,000万円以上5,000万円未満 月額20,000円~

 

個人事業主が確定申告作成を依頼する税理士選びのポイント

実際に税理士に依頼しようと決めたとき、税理士選びはどんな基準で進めていけばいいでしょうか。

ここでは、税理士に依頼するときに見るべきポイントをまとめていきます。

 

第一印象や雰囲気はどうか

第一印象や雰囲気は非常に大事です。

 

いくら優秀な税理士でも、やはり人間的に相性が合うのが一番です。

 

見下した態度や横柄な方は、長く付き合っていく税理士として依頼するのは考え物ですよね。

 

実際に申告準備が始まるとわからないこともたくさん出てきますから、相談しやすい雰囲気で接してくれる税理士を探しましょう

 

申告以外にも経営に関しての相談に乗ってくれる税理士さんであれば、長く力になってくれるはずです。

 

可能であれば一度実際に会って、話をしてから決めましょう。

 

得意分野や売りは何か

税理士事務所によって、それぞれ得意としている業界があります。

 

税理士事務所のホームページを見れば、だいたい得意としている業界がわかりますので、できるだけ自分の事業に特化している事務所を選ぶといいでしょう。

 

業界のことを全然わかっていない税理士に依頼するのは不安ですよね。

 

また、業界によっては専用の勘定科目を使う場合も出てきます。

 

得意分野を持ち、業界に特化した税理士は、業界特有の専門用語なども理解していますから、相談もスムーズに進みます。

 

すでに利用している会計ソフトが使えるかどうか

税理士事務所に確定申告をお願いする場合、自分で会計ソフトに記帳したデータを見てもらう場合があります。

 

会計ソフトで連携が取れないと無駄な時間が生じてしまい、せっかく依頼しても余計な手間が発生してしまう可能性があるので、気を付けましょう。

 

すでに自分で会計ソフトを用意している方は、連携して使用可能かどうか確認する必要があります。

 

料金は適切か

相場から自分が依頼する内容に見合った料金であるかを確認しましょう。

 

あまりにも高額な場合は、自分には必要のないサービスがついている可能性もあります。

 

お願いしたい内容に沿った見積もりを取って検討するようにしましょう。

 

また、聞き落としがちなポイントとして、事業の状況が変わった時にどのような料金になるのか、料金体系を確認することを忘れないように気をつけましょう。

 

日々勉強をしているか

税務に関する法律というのは改正が頻繁にされます。

 

そのため、正確に税理士業務を行うには変化に対応できるよう日々勉強を続けていく必要があります。

 

勉強を怠らない税理士は活躍している先生も多くノウハウや実績もしっかり積んでいます。

 

そのあたりの情報も収集して最終的に判断するようにしましょう。


確定申告を税理士に依頼した場合の流れ

税理士に依頼をした場合にはどのような流れで実際の申告まで進むのでしょうか。

 

事前に知っておくことで心構えもできますので、整理して見ていきましょう。

面談とヒアリング

税理士との信頼関係を作る上でも、とても大事な工程になります。

 

事業の形態や事務所の有無など、必要な情報を漏れなく共有するようにしましょう。

 

また自分の要望も遠慮せずに詳しく聞いてもらう事が大切です。

 

面談やヒアリングでしっかり話を聞いてもらい、自分の望んでいるサービスを受けられるよう時間を十分に取ってもらうようにしましょう。

 

必要書類の提出

領収書や通帳のコピー等、記帳に必要な書類と支払調書や控除額がわかるものをすべて渡して、申告書を作成してもらいます。

申告・納税

所轄の税務署に申告書を提出しましょう。

実際の納税は申告書の提出期限と同じ3月15日までですから、それまでに最寄りの金融機関で納税を済ませましょう。

 

 

経費をできるだけ削減したいと考えている方も多いと思いますが、実は経理担当を雇うより、税理士に依頼して任せてしまったほうがはるかに安く済みます

 

確定申告中や締め切りが近くなると依頼しても断られてしまうことがありますので、依頼する方は早めに連絡するようにしてください。



個人事業主が確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット

個人事業主の方は1人で事業を営んでいる人もいるので、毎年やってくる確定申告という作業に煩わしさを感じている方も多いと思います。

 

確定申告に欠かせない、記帳の作業は特に面倒な作業であり、多くの時間を割かれてしまいますよね。

 

毎月の記帳作業から逃れたい、簿記の知識があいまいで自分で入力するのが辛いと感じている方は、税理士に外注してしまうことも検討しているかと思います

 

そんな方のために、今回の記事では税理士に依頼するメリット・デメリットを解説していきます。

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個人事業主が確定申告を税理士に依頼するメリット・デメリット

個人事業主の場合1月1日から12月31日まで1年間の所得税を計算して、税務署へ申告・納税しなくてはいけません。

 

税理士に依頼するかどうかで迷っているけど、本当に必要なのか、メリットがあるのかと悩んでいる方もいますよね。

 

事業の規模が小規模の方は特に、自力でやった方がいいのではないかと考えてしまうと思います。

 

まずは、確定申告を税理士に依頼するメリットとデメリットを明確にしていきましょう。

 

確定申告を税理士に依頼する5つのメリット

税理士に確定申告を依頼するメリットは時間的にも精神的にも数多く存在します。

 

本業に専念できる

確定申告をするには膨大な領収書を整理して、仕訳を考えながら帳簿をつけ、気が遠くなるような作業をこなさなければいけません。

 

簿記の知識がない方や本業が忙しくて経理まで手が回らない方は、税理士に依頼することでその悩みから解放されるでしょう。

 

税理士事務所によっては、領収書を渡せば整理から仕訳作業まで丸投げで対応してくれる場合もあります。

 

領収書の保存は必要ですが、ほとんど時間をかけずに確定申告を終えることができるはずです。

 

自分で確定申告をした場合にどれくらいの時間がかかってしまうのかをしっかり把握して、この時間を本業に充てたいのであれば、税理士に依頼した方がいいでしょう。

 

ストレスから解放される

確定申告の作業はとても煩雑であり、多くの方がストレスを抱えているのが現状です。

 

たいていの方が、締め切り間近になって、慌てて領収書を探し出すことからはじめるのではないでしょうか。

 

その間は仕事に集中ができないですし、締め切りもあるのでイライラしてストレスを抱えることになるのです。

 

税理士に確定申告を依頼してしまえば、このようなストレスからも解き放たれます。

 

正確な確定申告書を作成できる

経理に詳しくない方は、帳簿を付けるのにネットで何度も調べたり、税務署に相談に行ったりと、申告書が完成するまでにかなりの手間がかかってしまいます。

 

申告書が出来上がっても、本当にこれで正しいのか不安になってしまう方もいると思います。

 

専門家である税理士であれば、正確な確定申告書を作成してくれるので、不安を感じることなく安心して任せることができます

 

正しい節税対策ができる

確定申告では年間の売上から経費を差し引いて、各種控除を除いた額から税額を計算して、税務署に申告します。

 

この際、経費を漏れなく計上することで課税所得を減らすことができ、結果として節税することができるのです。

 

ただしこの必要経費を見極めるのがとても難しく、経費にできるものを除いてしまったり、逆に経費に入れてはいけないものを計上してしまうことが起こってしまいます。

 

素人では線引きが難しい必要経費も税理士であれば正確に判断して反映してくれます。

 

税理士に正式に依頼をしたら、記帳の方法だけでなく、節税の仕方なども気軽に相談することができますよ。

 

税務調査が入りにくい

税金の専門家である税理士が作成した申告書であれば、信頼度も高く税務調査の対象になりにくいというメリットがあります。

 

また、もし税務調査の対象になってしまったとしても、税理士が間に入ってくれるので、安心して任せることができます。

 

税理士と顧問契約を結んだ場合、必ず税務調査には税理士が立ち会ってくれます。

 

確定申告を税理士に依頼する2つのデメリット

以上のように、税理士に確定申告を依頼するメリットはたくさんあります。

一方で少なからずデメリットもありますので、この部分もしっかり情報を得ておきましょう。

 

費用が発生する

税理士に依頼するデメリットとしては、税理士に支払う報酬が発生してしまうという点にあります。

 

事業者の年間の売上高や依頼内容によって報酬額は変わりますが、ある程度の費用の負担は免れません。

 

また、税理士の能力によっても値段は変わっていきます。

 

費用がかかってしまうということで、無理して自分で申告する方も多いですが、確定申告の作業に忙殺されて販売機会を逃してしまうなどは本末転倒です。

 

費用対効果をしっかり考えていく必要があります。

 

事業に関するお金の流れが把握しづらい

税理士に依頼をすることで、自分で記帳から申告までする場合と比べると、細かいお金の流れがつかみにくいというデメリットがあります。

 

しかしこの点については、税理士としっかりとコミュニケーションを取っていれば、解決できる部分でもあります。

 

逆に整理された状態で経営状況を把握できるようになるため、メリットに転じる可能性も大きいです。

 

 

 

記帳を全然つけていない方や、申告を忘れていて過去の分もまとめて申告したい方など、確定申告に悩んでいるのであれば、一度税理士に相談してみることをおすすめします。

 

また、時間がなく忙しい経営者の方、業績が伸びてきている事業者の方には特に依頼するメリットが多くなります。

 

会社を設立すると誘われがちな、異業種交流会には出るべきか?

会社を設立・運営していると、様々な会に誘われることがあります。

 

青年会議所(JC)・商工会議所・各種経営者団体・異業種交流会・・・。

 

前者三つは、自身の考え次第ですが、異業種交流会は参加をおすすめしにくいです。

 

その理由を掘り下げてみましょう。

 

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異業種交流会に出る人は、仕事を出す人ではなく仕事が欲しい人が多い

異業種交流会に出たことがある人ならわかると思いますが、異業種交流会でのつながりから仕事の受注に至るというのは、よほどのことがない限り難しいです。

 

なので、特に目的のない異業種交流会には、参加することをおすすめしにくいです。

 

会で話をし、意気投合するというパターンもありえますが、多くの場合、セールスを受けたり、場合によっては保険のセールス・ネットワークビジネスなどの勧誘を受け、不快な思いをするケースもあるかもしれません。

 

基本的に、異業種交流会に出る人は「仕事が欲しい」「暇なので参加する」というケースが少なくありません。

 

特に、参加費用の安い交流会はその傾向が強いです。

 

本業が忙しければ、仕事を処理することや、本業周り全般に時間を割く必要があり、交流会に出る価値はさほど見いだせないでしょう。

 

ただ、経営者同士の身元がしっかりしている地元経営者の会などは、自社の地元における認知度向上や信頼感醸成のために出たり、活動をする価値はあるかと思います。

 

それ以外の会に出る暇があれば、会社のためになる活動をしたり、読書・勉強などを行った方が価値があると言えます。

 

経営者の「会合」との付き合い方

異業種交流会に限らず、会合というのは、最初のうちは無理して参加しない方が良いかと思います。

 

付き合いや義理で仕事を受けることも、否定するものではありません。

 

しかし、理想としてはそういう付き合いなどなしに、顧客が使いたいと思ってくれるサービス・製品を開発することが重要です。

 

一方、ある程度事業が成長し始めると、様々な分野と「アライアンス」を組む必要が出てくる可能性があります。

 

その中で、産業展・ビジネスマッチング交流会等は、一つのきっかけ作りになります。

 

こういう、一歩ビジネスが成長した段階であれば、交流会など他社とつながりを持つことも検討してみてよいでしょう。

 

異業種交流会で出くわす「マイナス」のかわし方

いろいろなしがらみその他で異業種交流会に出たときに、先ほどあげた保険・ネットワークビジネスの勧誘の他にも、不審な投資話・不透明なビジネスへの関与の持ちかけなど、様々な誘いがあるかもしれません。

 

その時の対応は、あれこれいうより

 

「興味ありません」

 

の一言で、それ以上言う必要がありませんし、その場を離れるべきでしょう。

 

何か断ることに理由をつけると、勧誘する側も、「ああ言われればこう言う」で、トークスクリプトを磨いています。

 

そうであれば、最初から「興味ない」と明確に示すことで、「あなたとはこれ以上コミュニケーションを取る必要を感じていません」と突き放した方が、様々な意味で楽と言えます。

 

創業当初・初期は、いかに相手の役に立ち、「役に立ったことに対して、きちんと対価を返してくれる人間がいる場に身を置くか」が重要になります。

 

テイカー(もらうことばかりを考える人)が多い場所に身を置いても、自身が吸い取られるばかりで、メリットはあるとは言いがたいです。

 

個人的な満足感は、もしかすると得られるかもしれません。

 

ただ、「その満足感は売上・利益に繋がっているのか?」という点をきちんと考え、満足感だけで終わっているようであれば、率直に言って時間とお金がもったいないと言わざるを得ません。

 

経営者に取って、時間は有限です。

 

経営に繋がらない自己満足を積み重ねるよりも、実利になっているか、本当に貢献すべき顧客に貢献できているかを考えた方が良いでしょう。

会社設立後の運営に書かせない、債権回収のお話

ビジネスでは、いくら売上を挙げても、お金を回収できないと意味がありません。

 

タイトルにある「債権回収」と聞くと、なんだかおどろおどろしく感じるかもしれませんが、要は「相手に提供した価値分のお金を、きちんと先方からいただきましょう」という話です。

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債権を回収するまでがビジネス

ビジネスというと、顧客に契約してもらい、価値を提供することが前提になります。

 

しかし、価値を提供しても、お金を受け取ることができなければ意味がありません。

 

売上を挙げるだけでなく、売上分をきちんと回収するまでが仕事です。

 

当たり前のこととわかっているけれども、いざ自分がその立場になると、様々な事情で強くいえなかったり、遠慮してしまうことも出できがちです。

 

そこで、債権を回収しやすくなるための、基本的なポイントをおさえておきましょう。

 

債権回収をスムースに行うために、取引当初から心がけたいポイント

・極力先払いでお願いする

一番良いのは、先方から先に払ってもらうことです。(様々な事情で難しい業種も多いかと思いますが・・・)

 

全部は難しくても前金として半分など一定額を請求する、「当社はどのお客様に対しても、先払いでいただく規定となっております」と説明するなど、最初から先払いをしてもらうことが、債権回収で悩む事をなくします。

 

対法人向けのビジネスは難しいところがあるかもしれませんが、対個人の場合は、先払い、もしくはサービスの提供と同時払いをお願いすることを、特に心がけた方がよいでしょう。

 

なかなか自社からだといいにくいという所はあるかもしれませんが、「当社はこういう規定となっております」とすると、意外と納得してくれるケースも多いです。

 

もしここで、相手が強くクレームをいう場合は、他のことでもクレームを発生させる可能性がありますので、ある意味最初のうちにスクリーニングできてよかったと割り切るべきでしょう。

 

それ以外の前金・納品時同時回収が多い業種は、請求書の発行(一見当たり前のようですが、請求書の発行をしない会社も意外とあります)を行い、2週間後や月末締めなど、期限をきちんと区切り請求を行うことです。

 

また、期限までに入金がない場合「どういうご事情ですか」と連絡し、状況確認をすることは不可欠です。

 

ともかく、取引相手に「ここはお金のことはきっちりしているな」と思ってもらうことで、相手が「この取引先への入金は後回しでいいや」と思われないようにすることです。

 

債権回収は、1円でもきちんと回収するという意志が必要

債権回収においては、「できるだけ早く」「1円も残らず全額回収する」という気持ちが重要です。

 

なかなか自分だけだと、回収で強くいえないというケースも多いかもしれません。その場合は、事務スタッフなど、第三者から請求させるという手もあります。

 

また、カドが立たないように、「念のため、申し訳ないですけど再度請求を行いますね」と伝えることも重要です。

 

債権回収というと、昔のドラマのように強引に回収するイメージもありますが、様々な証拠の保全が簡単になった現在(ICレコーダー・スマホで録音するなど)、強い口調で取り立てを行うと、逆に何らかの形で反撃される可能性もあります。

 

そのため、自社から直接請求するときは丁寧に、それでも応じない場合は、弁護士などの専門家に相談し(コスト割れしない金額であることが前提、コスト割れする場合は自社で対処)、内容証明の送付など相応の処置を行うことが必要です。

 

また、コスト割れする場合でも、今後同じことが起きないようにするという意味で、弁護士に「今後同じトラブルが起きないように」という観点で相談するのも一つの考え方です。

 

あくまで厳しいことは自分からいわず相手に気づいてもらう、それでわからない相手なら、弁護士などを通し連絡するか、少額ならばこまめに連絡をし、少しでも支払いをしてもらうとともに、その相手との新規の取引は控えることです。

 

なかなか経営者でも、売上を伸ばすのは好きという人はいても、債権回収をするのが好きという人は多くないでしょう。

 

また、債権回収をせずにすむような状況を作ることも経営者の仕事と言えます。

 

いずれにせよ、売上分のお金を現金で回収するまでが仕事であることを心得ましょう。

会社設立後の顧客管理の手法

会社設立後、事業が軌道に乗ると、ビジネスの種類によっては、顧客が増大する業種も多いです。

 

数社としか関わらないという形であればともかく、法人・個人問わず多くの顧客と関わるようになると、「顧客管理」という観点が大切になります。

 

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顧客管理をどのように行うのか・なぜ行うのか

まず、社長一人や数人の社員で、十分管理できる場合はエクセル・アクセスなどで十分かと思います。

 

ただ、多くのビジネスは、顧客が増えるにつれ、管理が難しくなって行きます。

 

そもそも、顧客管理というのが、

  • どこまでお客様のデータを預かるのか
  • 預かったデータを、どのように顧客対応の改良や接触・サービス提供・セールスに活かすか

など、「顧客管理を通して何を行うのか、なぜ行うのか」が明確になっていないと、「顧客のデータを集め整理して、自己満足で終わる」という、作業のための作業になってしまいます。

 

顧客管理を行う上では、「何のために」という目的意識が欠かせません。

 

例えば、ある仕出し弁当店では、電話がかかると、氏名・電話番号から様々なデータを把握できるようにしているそうです。

 

過去の注文履歴や所在地・顧客の誕生日・記念日・七五三や地域の行事などのイベントを把握し、記念日にはメニューと割引券をつけたダイレクトメールを送るなどしています。

 

相手が必要だろうな、というタイミングを見定めるために、住所だけでなく、顧客の家族構成・生年月日などの情報もきちんと管理しています。

 

一方、対法人がメインのある業種では、取引先が数社のみであり、取引先とのやりとりはビジネスチャットに集約されているため、権限のある社員であれば、過去の様々なやりとりを確認する事ができます。

 

また、ビジネスチャットに書けない部分は、別の社内チャットルームを作り、情報共有をするようにしています。

 

このように、業種によって求められる顧客管理というのは、相当異なります。

 

自身の業界に適合した顧客管理方法は、先輩経営者か税理士など専門家に聞こう

顧客管理というと、ソフトウェアを導入したり、データベースを構築したりなど、月額の顧客管理サービスを契約するなど、様々な方式があります。

 

手法がたくさんあるため、どの方式が良いのかいろいろと迷うことがあるかもしれません。

 

一番無難なのは、先輩経営者なり、顧問税理士なりに、「業界では、顧客管理をどのようにして行っていますか?」「先生が顧問をされている事業者さんは、どのように顧客管理を行っていますか?」などヒアリングを行い、他の事業者が使って「良いな、これ」と感じた顧客管理手法を用いることです。

 

やはり、特定の顧客管理手法を用いるということは、それだけの理由・メリットがあるから行っているのです。

 

あくまで顧客管理は手段

ここまで書いてきておいて、少しハシゴを外すような言い方になりますが、「自分が顧客をきちんと理解・管理して、自分自身しか事業に関わっている人がいない」、そんな状態であれば顧客管理はメモ書きでも、頭の中でもいいのです。

 

逆に、2人以上で顧客の情報を共有する場合には、何らかの形で顧客管理の仕組みを作ることは重要です。

 

例えば、社長自身には丁寧に対応してくれる人でも、社員に対しては、あまり丁寧な対応ではない、という人もいるかもしれません。

 

また、コミュニケーション手段の多様化によって、顧客でも、

  • 現在のコロナ禍でも、対面で会うことを重視する人
  • テレビ電話などリモートでのコミュニケーションを好む人
  • 電話が好きな人・嫌いな人
  • 電話のコミュニケーションは苦手で、メールやビジネスチャットを好む人

など、コミュニケーションの手法だけでも「好き・嫌い」というのが多様化しています。

 

この多様化は、コミュニケーションだけでなく、様々な分野で生じています。

 

あくまで相手の望む手法を取る、望むサービスを提供する、そのためにも、一人社長を卒業した場合は、顧客管理が重要になると言えます。 

 

会社の固定費は、減らすことを常に心がける

会社設立をすると、少し油断をするとすぐに増えてしまうのが「固定費」です。

 

コピー機をリースしよう、社員を雇おう、月額サービスを導入しよう・・・、と、きちんと意識しないと、固定費はすぐに増え続けます。

 

特に、人件費や家賃などの、変動の要素が少ない固定費は、年単位で見るとかなりの出費になります。

 

そのため、会社設立初期から「固定費をできるだけ増やさない」「固定費になる要素を変動費にする」ということを考える必要があります。

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固定費を増やさない、減らすための根本的な考え方は?

固定費をできるだけ増やさない、減らすということを、口で言うのは簡単ですが、実現するのは非常に難しい面があります。

 

やはり、事業をしていると、目の前の仕事をこなすのにいっぱいいっぱいで、固定費の見直しなど「重要だけれども急ぎでない事項」というのは後回しになりがちです。

 

固定費を増やさない、減らすために重要な考え方をピックアップしてみましょう。

 

・固定費が加わる場合、「この固定費は本当に売り上げに貢献するか」を考える

固定費は、業績が悪化しても、基本的に削減することが難しい面があります。また、固定費を削減しようとすると、何らかのトラブルが発生する可能性もあります。

 

固定費を増やしていくのは簡単ですが、短期的・長期的に見て、この固定費は本当に売上に貢献するのだろうか、という視点で考えることは重要です。

 

・固定費を作らない、変動費にする

創業当初は特にですが、固定費をできるだけ作らないことが大切です。

 

オフィスは最小限のところなり、自宅にする、コピー機はリースではなくビジネスインクジェットなどの複合機を使う、社員の雇用ではなく外部サービスを使う、社員を雇う代わりに、業務委託として参画してもらい(実質的に雇用とみなされないよう、労働時間や場所に制約を設けず、あくまでビジネスパートナーとして関わってもらう)、必要に応じ社員なり、役員などのポジションに加わってもらうなど、工夫できる余地は多くあります。

 

・固定費の必要性に関して、見直しにくいものは特に慎重に考える

固定費の中でも、簡単に契約を見直せるサブスクリプションから、簡単には見直せない(見直すことで大きな負担が発生する)家賃、人件費、車・コピー機などのリース料まで、「見直ししやすい固定費と見直ししにくい固定費」が存在します。

 

固定費の中でも見直しやすいものはよいですが、一度固定費となると見直しにくい物は、契約の時点でしっかりと考えた方が良いでしょう。

 

固定費を払うことで、リターンがあることが明確ならばぜひ支出していべきですし、もし固定費を回収できる可能性がないものや、本質的に仕事の発展に繋がらないものに関しては、できるだけ入れずに考えた方が良いでしょう。

 

固定費は、放っておくと増大する可能性も少なくない

パーキンソンの法則に、「仕事の量は、完成のための時間を全て満たすまで膨らむ」「支出の額は、収入の額に達するまで膨張する」というものがあります。

 

 

固定費などの支出はまさにそうで、仕事が軌道に乗っていると、人員採用・社用車購入・良いオフィスへの引っ越しなど、様々なことをしたくなります。

 

しかし、経営というのはいい時期もあれば、そうでない時期もあります。

 

調子の良いときこそ、「この固定費は本当に必要か」「売上に繋がる本質的なものか」をしっかりと考え、支出を吟味していく必要があります。

 

例えば、SESのように、人を採用・育成し現場に投入すれば、売上が立つという明確な仕組みがあるのならば、積極的に人を雇っていくべきでしょう。

 

しかし、明確に売上に繋がるかわからない場合というのは、一度立ち止まって考え、有効性を検討、その上で決断するなど、慎重に考えましょう。

会社の資本金の目安って?

フリーランスをしていて、会社設立を考える人の相談にのると、「資本金はいくら用意すればいいの?」という疑問を持つ人が意外と多いです。

 

 結論からいうと、資本金は特にこだわりがなければ300万円(以前有限会社というのがあり、その設立下限)、また、会社で許認可などが必要な業種の場合は、それに合わせて(建設業なら500万円など)くださいというのが教科書的な回答です。

 

小売・製造などIT以外のビジネスを手がける先輩経営者などに聞いても、「資本金数十万というのは微妙だし、ましてや資本金数万かというのは、どうかと思うよね」という意見でした。

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会社の資本金、ほんとはいくら用意すればいいの?

ただ、資本金として現金にて300万円を出せるかというと、人によっては難しいケースもあるかもしれません。

 

その場合に取りうる手段として、

  • 数十万円・百万円などの資本金で割り切ってスタート
  • 車やパソコンなど「物で出資する」現物出資という手法を使い、現金の出資は数十万円でも、登記される資本金は数百万円(現物出資は500万円までOK)ということにしておく

 

という方法があります。

 

少額の資本金で割り切るという考えは、ITの中の一部業種など、設備投資がさほど必要でない業種で活用できます。

 

ITの場合は、相手に資本があるかというのは、気にする会社もあれば、ちゃんと仕事を仕上げてくれれば気にしない、という会社もあり、本当にケースバイケースです。

 

伝統的なビジネスと違い、「資本金が少ないから取引NG」という会社はそこまで多くありません。(ただ、資本金を気にする会社もあるので注意)

 

例えば、元々自分が個人事業主・フリーランスで、株式会社でない形態でも仕事を受注できていれば、資本金うんぬんはさほど関係ないでしょう。

 

既に取引実績や信頼ができているわけですから。

 

逆に、脱サラなどでゼロから会社設立という形になると、実績以外の方法で信用を担保する必要があり、その一つが「資本金の大きさ」と言えます。

 

資本金の現金が心許ない場合でも、「現物出資」という方法がある

出せる資本金が限られるが、土地家屋などの不動産、車や機械などの有形物、Webサイト・ソフトウェアなどの無形物を「現物出資」という形で出資することで、資本金を手厚くすることができます。

 

ただ、注意点としては、

  • 500万円を超えると裁判所の検査役などの厳格な調査が必要になり、費用もかかるので、現物出資は500万円未満がおすすめ
  • 現物出資を伴う場合は、価格の適正な査定のために、税理士など専門家に相談することを強くお勧め

と言えます。

 

現物出資は、所有物の名義が自分から会社に移転することになりますので、名目上は自分のものではなくなります。

 

ただ、自身が100%株主の会社などであれば、形式上名義が換わっただけで、実質としては自分のものであるということに変わりはありません。

 

資本金は少なすぎても問題だが、多すぎると会社設立時の費用が増える・税制優遇などがなくなるパターンも

資本金に関しては、少ない(数万円~数十万円)だと、信用を得にくいですが、逆に資本金がそれぞれ1,000万円、1億円を超える額だと、中小企業向けの優遇措置の対象外になったり、法人税が変更になります。

 

また、会社設立時は、登録免許税を国に納付しますが、株式会社の場合、最低15万円、合同会社の場合最低6万円納める必要があります。

 

登録免許税は、資本金額×0.7%で計算されます。

 

株式会社の場合、2,143万円以上だと上記の最低資本金を超え、合同会社だと、860万円以上で最低資本金を超えることになります。

 

このように、資本金が大きいことは信頼をプラスする証になりますが、一方で税金負担などが増えるということも念頭に置いておくことが重要です。

 

 

 

 

 

 

会社経営で気になる、補助金と助成金の違いって何?

会社を経営していると、経営者仲間や業者、税理士・社会保険労務士などから、「こういう補助金・助成金がありますよ」という話を聞くことがあります。

 

この補助金と助成金、どちらもおおもとは国から受けられるものですが、様々な面で補助金と助成金は異なります。

 

補助金と助成金の違いを考えていきましょう。

 

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補助金とはそもそも何?

補助金は、「機械に投資する」とか、現在であれば新型コロナ対策でアクリルパーディションを用意するなど、設備投資に対して活用します。

 

お金の出所は税金で、予算には上限や採択数の限りがあるケースが多く、財源や採択数を超えると、終了したり、内容の良い物から採択されていきます。

 

また、補助金の全体的な特徴として、募集期間が短い物が多いです。

 

2,3週間から長くても2ヶ月などで、1年に1回から複数回募集されます。

 

そのため、募集のタイミングをよく見ておかないと、「気がついたら既に今期の募集は終了していた・・・」というケースは案外あるものです。

 

また、補助金を申請する場合、担当窓口とのしっかりした打ち合わせが必要になる補助金も少なくありません。

 

採択期間前や採択期間の最中に申請窓口を予約、チェックをしてもらい、その後採択期間の間に提出する必要があります。

 

補助金は書類も複雑なため、採択期間の間だけで書類を用意するということは、非常に難しいです。

 

ITサポート補助金など、取得がしやすい補助金もありますが、額が大きい補助金ほど、基本的には難易度が高い物と思った方がよいでしょう。

 

また、特に補助金を申請する場合には、「自社としての事業計画の策定」が前提となるケースが多いです。

 

補助金は、「特定の事業を行いたい、その上で、こういう補助が必要、当社にはこのようなビジョンがある」という理由付けがかかせません。

 

補助金の原資は税金ですので、出したお金が本来の事業と違うところに使われたり、社会をよくするための方向と違うところに使われることがあってはなりません。

 

そのため、補助金を策定する上では、経営者自身やスタッフ・専門家を交えた事業のあり方の検討や、税理士・中小企業診断士・行政書士など書類作成のプロの助力が必要になります。

 

助成金とはそもそも何?

それでは、助成金とはどのようなものでしょうか。

 

シンプルにいうと、私たちが支払っている雇用保険を財源として、「人に対する投資」に対して支払われる助成です。

 

補助金とは違い、一年中募集しているタイプの物が多く、要件に当てはまっていれば基本的にはもらえる一方、「お金の使い道」に関してはしっかりと調査がされます。

 

たまに新聞や厚生労働省支局のページで○○助成金に関する処分という記事が出ることがありますが、基本的には虚偽申請や、もらったお金を違ったことに使うなどよほどのことがある場合です。

 

基本的には、厚生労働省が指定する要件に当てはまれば申請し、支給を受けることが可能ですし、条件さえ合えば何度でも申請することが可能です。

 

また、補助金に比べ助成金は申請の難易度が低いものが多く、経営者・事業主やスタッフが自分で行けば申請できてしまうものもあります。

 

ただ、実際の所は結構な手間がかかったり、社内体制の整備などができていないと行けないので、「社内体制の整備(労働規約・労使協定等の作成、各種手続きがなされているかの確認」等を社会保険労務士に依頼し、あわせて各種補助金の申請を社会保険労務士に依頼するという形がスムースかもしれません。

 

具体的には、

  • 週20時以上働くスタッフへの雇用保険の加入義務
  • 法人の場合や個人事業で一定人数を雇用している場合、社会保険の加入
  • 従業員を10人以上雇用している場合は、就業規則を作成

という点は必須になるでしょう。

 

補助金・助成金に関しては、経営者が関わるよりも、専任担当者を付け・専門家へ依頼するようにしていくことが、結果として経営者の負担も減るためおすすめです。

 

 

 

 

 

会社同士で共同開発を行う際の注意点

会社が軌道に乗ってくると、「うちの会社と一緒に○○しませんか?」とお誘いが来ることがあるかもしれません。

 

相手はスモールビジネスかもしれないし、著名なベンチャーかもしれない、もしくは大企業かもしれない。

 

どういう場合であっても、会社同士で共同開発を行う場合は、情報や内容等に関する注意・配慮・契約などが必要です。

 

今回は共同開発について触れていきましょう。

 

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共同開発におけるmustの3点

共同開発を行うということにおいては、ぜひ留意したい3つのポイントがあります。

 

  1. 秘密保持契約(NDA)を締結する
  2. 相手から契約書を差し入れられた場合は、弁護士にチェックをお願いする
  3. 共同開発で何を行うかを具体的に定義する

 

以上の3点は、特に留意すべきポイントと言えます。

 

特に、秘密保持契約の締結に関しては、ぜひ最初のところで、弁護士などの専門家も交え、NDAを作成した方が良いでしょう。(市販のひな形でもないよりは良いですが・・)

 

いくら気心の知れた事業者であっても、会社としては別の会社であり、「機密保持」という一線はしっかりと引く必要があります。

 

また、雑談でちょっと話したアイデアが、共同開発を行う会社や、共同開発を行う会社と通じた会社に流れてしまい、自社はアイデア・ノウハウなどを抜かれただけで用済み・・となってしまっては悲惨です。

 

そのため、秘密保持契約(NDA)はきちんと契約するようにしましょう。

 

相手(特に大企業)から出された契約書には注意する

契約の常として、「契約書を作る側が、自社に圧倒的に有利な契約書を作る」ということがあります。

 

特に大企業の場合は法務部門がしっかりしていますので、あらゆる角度で、自社に有利になるよう契約書を作り込んできます。

 

大企業が協業したいと言ってきているわけだから、そんな変な契約書ではない、という先入観を持ってはいけません。

 

あくまで弁護士などの専門家に契約書のチェックを受け、どの点にどういうリスクがあるかを判定してもらうことが重要です。

 

また、契約書の内容というのは、相手の差し出した内容をそのまま受け入れる物ではありません。

 

もし、リーガルチェックを経て、契約書として自社に不利な条項があれば、「ここはこう直して欲しい」など、「弁護士からこういう指摘を受けた」という文言を踏まえ、契約書の変更を提案した方がよいでしょう。

 

共同開発で何を行うかを具体的に定義する

ただ、「何かを一緒にやろう」というのは、企業同士の共同開発としてあまりにも曖昧です。

 

  • 共同開発は何を目的として行うのか
  • 業務の分担はどうするか
  • 費用負担はどのように負うか
  • 共同開発にそれぞれが自社のリソースをどれだけ割くか
  • 共同開発のゴールをどう設定するか
  • 共同開発を中止する場合やその際の費用負担・損害負担はどうするか

など、企業同士の共同開発においては、様々な事項を「契約書」という形で明確に定義しておくことが求められます。

 

この契約書に関しても、ぜひ弁護士に依頼し、精度の高い契約書を作成するよう心がけた方がよいでしょう。

 

共同開発となると、自社だけでなく相手方もいることから、なんとなく責任の所在が曖昧になったり、共同開発の目的が不明確だったり、お互いの役割分担が曖昧だったり等、全て自分で行うときとは違い、物事がなあなあになる可能性もあります。

 

逆に大企業やメガベンチャー相手の場合は、自社が完全に主従における従の立場になり、決定権を大企業・メガベンチャーが主導し、自社は下請的な立場になってしまうことも、可能性としてないわけではありません。

 

このように、共同開発を行う際も、他社と行うことだからこそ、最初の時点で様々なことを明確に定義しスタートすることが重要と言えましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

会社の資金調達、融資と出資、どちらがいい?

会社の資金調達方法としてメジャーなのは、金融機関から融資を受ける方法と、第三者などから出資をしてもらう方法です。

 

両方の特徴・メリット等を解説します。

 

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融資と出資の端的な違い

融資と出資の違いを端的に述べると、

  • 返済の必要があるか
  • 負債とみなされるか否か(会計上の扱い)
  • 出資を受けることで、創業者の決定権が他者に拘束される可能性もある

という点でしょう。

 

会計上の観点に関しては、ここでは触れずに、融資の返済・出資に関して書いていきます。

 

融資は返済の必要があり、経営者などの連帯保証が必要になるケースも

 

融資に関していると、借入ですので、返済義務があるのは当然です。

 

また、代表取締役や役員、実質経営者などが、借入の際に連帯保証をしたり、担保を差し入れることを要求されることがあります。

 

数年前より、経営者保証に関するガイドラインというのが策定されており、その中で資本と経営の分離がされていれば、代表取締役などを連帯保証から外すという動きもあります。

 

ただしこれは、弁護士・税理士など経営者保証ガイドラインに通じた専門家と連携しながら進める必要がありますので、創業当初の資金調達では、経営者の連帯保証のない融資というのは少し難しいかもしれません。

 

また、当然返済ができなくなると、金融機関が債権回収のフェーズに入り、返済できない場合は会社の民事再生や破産、代表者が連帯保証をしており返せない場合は連帯保証人の自己破産なども視野に入ります。

 

このように、当たり前のことですが、返済できなかったときのリスクがあることは心得ておいた方が良いでしょう。

 

また、当然ですが、借入に伴う利子の支払いの必要性もあります。

 

加えて、金銭消費貸借証書に記載されている期限の利益喪失事項(これに当てはまったら、すぐに全額返済してもらいますよ、という事項)に該当する場合は、即刻返済を行わざるを得ず、もし返済が不可能な場合は、経営破綻に直結する事態になる可能性もあります。

出資は返済リスクこそないが、経営権の一部を他者に渡すことになる

出資は借入と異なり、毎月継続して返済するなどの必要はない反面、会社の「株式」を出資者に渡すことになります。

 

現在の会社の株式を渡す、将来の株式の予約権(新株予約権)を渡すなどの方法がありますが、いずれにしても創業者の持株の比率は希薄になりますので、創業者の決定権は弱まることになります。

 

特に、創業者の持株比率が

  • 3分の2を下回ると、単独での特別決議に必要な議決権がなくなる
  • 過半数を下回ると、普通決議に必要な議決権がなくなる
  • 3分の1を下回ると、特別決議を拒否するために必要な議決権がなくなる

とされており、特に、創業者・仲間の持株比率が3分の2以上、過半数以上であるかというのは、決定権を大きく分ける分水嶺となります。

 

できるだけ3分の2の株式は、創業者自身や会社のボードメンバーで有しておくことが重要ですし、株式の過半数に関しては、経営の独立性を保つための非常に重要なラインになります。

 

そのため、持株比率3分の2~過半数は、経営の決定権を持つためにも、守り抜くようにした方がいいと言えましょう。

 

結局、会社の資金調達、融資と出資、どちらがいい?

ここまで書いてきてなんですが、結論はケースバイケース、というところです。

 

あくまで堅実なビジネスとして100%株式を自分で持ち、オーナーとしてやって行きたい場合は、融資を活用するべきですし、逆にベンチャーなど社会的に大きな変革を行う事業の場合は、第三者・ベンチャーキャピタルから出資を受けると共に、VCや出資者と二人三脚でやって行く必要があるでしょう。

 

ベンチャーキャピタルも、慈善事業で出資を行っているわけではありません。

成長の可能性がある企業でないと、出資を受けることは難しいでしょう。

 

また、ベンチャーキャピタルと契約するときは、出資にかかるガチガチの契約書を締結するケースがほとんどと思いますので、契約条項や、相手が何年くらいでのEXITを想定しているかなどを考え、覚悟を決めて出資の受諾をすることが必要でしょう