会社の基本原則を表す「定款」。これに記載する事項としては、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」の3つがあります。
その中でも「絶対的記載事項」は記載しなければ定款を有効とできないほど、重要度の高いものでもあります。
ここでは、絶対的記載事項について、その内容を解説していきます。
目的
絶対的記載事項の1つに「目的」があります。これは、設立する会社の事業内容を示します。
例えば、不動産会社であれば「不動産の売買・仲介」、旅行会社であれば「旅行業者代理業」というような書き方になります。
目的を記載する際の注意点としては、許認可審査を意識した記載にするという点です。
許認可の審査では、定款の内容を確認されるため、会社設立にあたる定款作成時には、許認可審査を意識して目的を記載する必要があります。
設立時に、どのような許認可の届出が必要かをあらかじめ確認した上で目的を記載しましょう。このあたりは、定款作成や許認可申請を得意とする専門家に相談・依頼して考えると良いでしょう。
商号
「商号」の記載も必要です。
これは会社の名称のことです。
商号は自由に決めることができますが、一定のルールが設けられています。
同一の住所でなおかつ同一の商号は不可であったり、株式会社の場合は必ず商号に「株式会社」を含む必要があったりします。
また、使用できる文字と使用できない文字も定められているため事前に確認して商号を決定します。
本店の所在地
「本店の所在地」の記載も必須です。
これは、会社の本社を置く場所の住所のことです。
ここでポイントとなるのが、本店所在地は最小行政区画までを記載するという点です。
最小行政区画とは、「〇〇市」「〇〇区」などを指しますが、定款に記載する本店所在地は、最小行政区画まで記載すれば良いというルールになっています。そのため、それ以降の詳しい番地を記載する必要はありません。
番地以降を記載しても問題はありませんが、設立した後に本店の移転を行った場合などに定款の変更手続きを行う必要が出てきます。
定款変更にあたっては株主総会を開いた上で株主の3分の2以上の同意が必要であり、簡単に行えるものではありません。
そのため、その手間を省くためにも最小行政区画までの記載にしておくほうが良いと言えるでしょう。
設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
会社の設立にあたって、出資される額の最低額を記載する必要があります。
この金額については特に定めはないですが、節税という点も意識して出資額を決めると良いでしょう。
資本金額が高くなると納税額も高くなってしまうため、高すぎる出資額の設定には注意が必要です。
発起人の氏名または名称および住所
発起人とは設立発起人のことで「出資者」とも言い換えられます。
発起人は、個人でも法人でもどちらでも良く、個人の場合は氏名、法人の場合はその名称と、住所を記載します。
発行可能株式総数
発行可能株式総数は、設立時に発行する株式数と設立後に発行する株式数を合計したものです。
これは、定款の認証時までに定めておく必要はなく、会社の設立登記申請までに定めておけば良いものです。
ここまで解説してきたように、定款は、会社にとって非常に重要度の高いものであるため、専門家に相談しながら適切なものを作成するのが望ましいと言えるでしょう。