会社そのものの基本ルールとなる「定款」の記載内容は、大きく3つに分類されます。
必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」、記載しなければ効力が生じない「相対的記載事項」、無理に定款に記載しなくても効力を生じさせることができる「任意的記載事項」です。
ここでは、そのうちの「相対的記載事項」について解説していきます。
「相対的記載事項」とは
まず「絶対的記載事項」は、定款に必ず記載しなければならない事項のことを言います。例えば、会社の商号や目的、本店所在地、出資額、発起人の氏名および住所などがこれに当たります。
一方で「相対的記載事項」は、必ず記載しなければならないものではないものの、記載しなければ効力が生じない事項のことを言います。
記載しなくても定款自体は有効ですが、定款で定めることでその事項の効力が発生するということです。
「相対的記載事項」の内容
以下のような事項は「相対的記載事項」に該当します。
- 株式の譲渡制限
- 役員の任期の伸長
- 無記名株式の発行
- 株主総会の議長
- 株主総会の招集地
- 新株発行に関する事項
例えば、株式の譲渡制限は「株主が誰か他の人へ株式を譲渡する場合に、株主総会または取締役会の承認を得なければ譲渡できない」という条件をつけることです。
この制限をつけることによって、会社にとって望ましくない人物に株式が譲渡される心配がなくなります。
また、役員の任期の伸長に関しても、取締役の任期は原則2年ですがこれを伸ばす場合などに定款に記載することで有効となります。
これらの制限をつける場合には、あらかじめ定款に記載して定めておく必要があります。
「相対的記載事項」のうちの「変態設立事項」
「相対的記載事項」の中でも、特に重要となるのが「変態設立事項」です。
これは、定款に記載しなければその効力が発生しない事項で、会社法第28条によって定められています。
以下の4つが「変態設立事項」に当たります。
- 現物出資
- 財産引受
- 発起人の報酬など
- 会社の設立費用
例えば「現物出資」とは、土地や建物、自動車など、金銭以外の財産によって出資することです。
この場合は、出資者の氏名または名称や、現物出資財産、価額などを定款に必ず記載しなければなりません。
定款に記載がない場合は、現物出資は無効となってしまうため注意が必要です。
定款の相対的記載事項について解説しました。絶対的記載事項と同様に非常に重要となる項目と言えます。
定款の作成には専門的な知識を要します。専門家と相談しながら、適切な形で作成するのが望ましいでしょう。