会社の代表取締役の住所は、第三者でも簡単に調べられてしまう問題

こんにちは、さいもーです。

 

ご存じの方も多いとは思うのですが、代表取締役の住所というのは、第三者でも、法務局で数百円を支払い、登記簿を取得すると調べることができます。(以前はオンラインでも可能であったが、現在は一般向けのオンラインサービスでは表示されない仕様に)

 

個人情報にうるさい人なら、「住所という個人情報が第三者でも取れるなんてけしからん!」となりそうなのですが、昔からこういう仕組みになってしまっています・・・。

 

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なぜ会社の代表取締役の住所が、法務局で取得できてしまうのか?

法律上では、会社法で、代表取締役の氏名・住所を登記することが義務化されており、登記簿謄本(全部事項証明)を取得すると、第三者でも代表取締役の氏名・住所を調べられてしまいます。

 

これは本来、

  • 訴訟が提起された場合、会社の事務所がない(消滅)場合でも、代表取締役の住所に訴状を送付できるようにするため
  • 会社の計画倒産や詐欺被害で、民事・刑事での責任追及をするために、代表者の住所は必要

など、会社と取引をする第三者や、被害を受けた第三者の権利を守るために行われていることであります。

 

また、

  • 登記に関する手続きの書類が会社に送れなかった場合に自宅へ送付する
  • 登記を怠る、いわゆる登記懈怠の通知などを行う際に代表取締役の住所・氏名が必要

という事情もあります。

 

ほかにも登記事項証明書には、資本金や事業目的、役員の重任・退任などが書かれており、どれくらいの資本があるか、どんな事業を行っているか、役員の動きが頻繁ではないかなど調べられるようになっています。

 

ただ、起業をする側としては、「氏名+住所」という情報を、第三者でも閲覧できてしまうと言うのは、正直あまり気分のいいものではないですよね・・・。

 

ただ、当面は「こういう仕組みなんだ」と割り切って対応する必要があります。

 

意外と忘れがちな、代表取締役の氏名・住所変更の登記忘れに注意!

さきほど、代表取締役の氏名・住所は公開されていると書きましたが、結婚で姓が変わったり、事情で改名をしたり、引っ越しをした際には、2週間以内に法務局へ氏名もしくは住所の変更届を出す必要があります。

 

2週間を過ぎても、手続き自体はできますが、あまりに遅い場合などは、登記懈怠(とうきけたい)ということで、代表者個人に対して100万円以下の過料が課されることになっています。

(実態としては、数万円から10万円くらいが一般的なようで、いわゆる「前科」にはなりません)

 

住所の変更もですが、結婚により姓が変わった場合など、姓名が変更になった場合も、変更登記の手続きが必要ですので、司法書士に依頼するか、法務局で手続きを行う必要があります。

 

さすがに手続き忘れで、少なくない過料を科されるのはもったいないというのが正直なところです。手続き忘れがないよう、注意しましょう。

 

今後も、代表取締役の登記事項証明書への住所記載は変わらない方向?

一時期、プライバシーの関係等を考慮し、登記事項証明書でも、代表者の住所を確認できないようにするべきだ、という意見がありましたが、現状の所では、変更しないという方向性のままのようです。

 

プライバシーに極端にこだわる人であれば(有名人など)、セカンドハウスなど普段住まない所に住民票を置き、印鑑証明書でセカンドハウスの住所を示すというケースもあ想定し得ますが、居住実態が曖昧な場所を住所として届け出ることは、コンプライアンスの面で微妙と言えます。

 

また、アパート・マンションの場合は、当記事にマンション名・部屋番号を記載するかしないかは自由ですので、登記の際に、会社設立の代行業者さんや司法書士さんに確認した上で、部屋番号を登記しないことも可能です。

 

いずれにせよ、代表取締役の氏名・住所は、法務局で取得できるという事実は抑えておいた方がいいですし、これから会社を設立する人で気になることがある場合は、会社設立代行事業者、司法書士に相談するのが確実です。