前回での記事は、法人と個人事業の違いなどを書きました。
法人と個人事業の違いというのはよく聞かれます。
よくある質問の一つとして、「会社を法人にすることで、節税になるって聞くけど、具体的にはどういうことなの?」という事項があります。
確かに、個人事業である程度売り上げが立ったら、法人化するといいということはよく聞かれます。
一般論としては、所得が500万円を超えたら、法人化する方がお得
本当は、法人化一つにしても様々な条件があるので、「このときはこう」とストレートに言いにくい所があります。
一般論でいくと、売上から経費を引いた額にあたる「所得」が500万円を越えたら、法人化をした方がお得になってくると言えます。
所得500万円のケースだと、個人事業の場合、所得税・住民税・個人事業税などを計算すると、ざっくりと88万円近くの税金がかかると言われています。
一方会社だと、法人税の対象にはならず、法人住民税が70,000円、事業はゼロ、所得税・住民税なども含めると、おおよそ60万近くの税金になります。
ただ、これは社会保険料の負担などを計算に入れていないため、社会保険料負担も考えると、計算が変わってくることが想定できます。
(参考書籍:らくらく個人事業と株式会社 どっちがトク?がすべてわかる本)
さらに、所得が1,000万円を越えると、個人事業では約269万円の税金、法人では約189万円の税金と、所得が上がれば上がるほど、個人より法人の方が特になっていきます。
ここまでくると、社会保険料などの支払いも含めても、法人化の方が確実にお得なゾーンと言えます。
青色申告を行う際、繰越損失が長いのも法人のお得なポイント
会社を設立すると、信用や節税の面などに目が行きがちになりますが、意外と見落としやすい会社設立のメリットとして、「青色申告を行えば、会社の場合は9年間赤字を繰り越すことができる(その後の黒字は、これまでの赤字と相殺し、節税できる)」というメリットがあります。(個人事業で青色申告を行っている場合は3年間)
9年も赤字を繰り越すというケースって・・・、と考えそうになりますが、今現在のコロナ禍で、想定を大きな損失が発生している企業も多いですよね。
一旦金融機関より融資を受けて、手元の現預金を確保することはできても、2020年の新型コロナウイルスの影響により生じた損失を取り戻すには、売上を挙げていくことが前提になります。
その際、3年間までしか損失を繰り越せない個人の青色申告と、9年間損失を繰り越せる法人の青色申告と、どちらが有利かは一目瞭然ですよね。
このように、税率や信用以外にも、個人事業より会社がお得なケースも多いのです。
会社は生命保険料の一部・もしくは全額を損金にできるというメリットも
個人事業の場合、事業主自身が被保険者になる保険は、損金にならず税務上不利になります。
一方、会社の場合は保険料の一部もしくは全額を損金扱いにできるため、個人事業主として保険に加入するより、法人で加入した方が節税ができるようになります。
旅費交通費の出張日当も、法人なら経費にできるが、個人事業主は経費にできない
仕事をしていると(現在は新型コロナウイルスの影響もあり、なかなか出張というのも減りましたが・・・)出張日当を経費にできる法人は便利です。
個人事業主の場合は、旅費交通費として支払った実費額を必要経費とできる一方、出張日当などを支払った場合においては、必要経費とすることができません。
しかし、法人であれば、出張旅費規程を作成することで、規定した額を全額必要経費とする事ができます。
他にも、法人ならではの節税・お得になるポイントを挙げるときりがないですが、一定の所得になれば、法人化を行った方が、いろいろな意味で有利になると言えましょう。