会社同士で共同開発を行う際の注意点

会社が軌道に乗ってくると、「うちの会社と一緒に○○しませんか?」とお誘いが来ることがあるかもしれません。

 

相手はスモールビジネスかもしれないし、著名なベンチャーかもしれない、もしくは大企業かもしれない。

 

どういう場合であっても、会社同士で共同開発を行う場合は、情報や内容等に関する注意・配慮・契約などが必要です。

 

今回は共同開発について触れていきましょう。

 

f:id:saimow:20200820152526j:plain

 

共同開発におけるmustの3点

共同開発を行うということにおいては、ぜひ留意したい3つのポイントがあります。

 

  1. 秘密保持契約(NDA)を締結する
  2. 相手から契約書を差し入れられた場合は、弁護士にチェックをお願いする
  3. 共同開発で何を行うかを具体的に定義する

 

以上の3点は、特に留意すべきポイントと言えます。

 

特に、秘密保持契約の締結に関しては、ぜひ最初のところで、弁護士などの専門家も交え、NDAを作成した方が良いでしょう。(市販のひな形でもないよりは良いですが・・)

 

いくら気心の知れた事業者であっても、会社としては別の会社であり、「機密保持」という一線はしっかりと引く必要があります。

 

また、雑談でちょっと話したアイデアが、共同開発を行う会社や、共同開発を行う会社と通じた会社に流れてしまい、自社はアイデア・ノウハウなどを抜かれただけで用済み・・となってしまっては悲惨です。

 

そのため、秘密保持契約(NDA)はきちんと契約するようにしましょう。

 

相手(特に大企業)から出された契約書には注意する

契約の常として、「契約書を作る側が、自社に圧倒的に有利な契約書を作る」ということがあります。

 

特に大企業の場合は法務部門がしっかりしていますので、あらゆる角度で、自社に有利になるよう契約書を作り込んできます。

 

大企業が協業したいと言ってきているわけだから、そんな変な契約書ではない、という先入観を持ってはいけません。

 

あくまで弁護士などの専門家に契約書のチェックを受け、どの点にどういうリスクがあるかを判定してもらうことが重要です。

 

また、契約書の内容というのは、相手の差し出した内容をそのまま受け入れる物ではありません。

 

もし、リーガルチェックを経て、契約書として自社に不利な条項があれば、「ここはこう直して欲しい」など、「弁護士からこういう指摘を受けた」という文言を踏まえ、契約書の変更を提案した方がよいでしょう。

 

共同開発で何を行うかを具体的に定義する

ただ、「何かを一緒にやろう」というのは、企業同士の共同開発としてあまりにも曖昧です。

 

  • 共同開発は何を目的として行うのか
  • 業務の分担はどうするか
  • 費用負担はどのように負うか
  • 共同開発にそれぞれが自社のリソースをどれだけ割くか
  • 共同開発のゴールをどう設定するか
  • 共同開発を中止する場合やその際の費用負担・損害負担はどうするか

など、企業同士の共同開発においては、様々な事項を「契約書」という形で明確に定義しておくことが求められます。

 

この契約書に関しても、ぜひ弁護士に依頼し、精度の高い契約書を作成するよう心がけた方がよいでしょう。

 

共同開発となると、自社だけでなく相手方もいることから、なんとなく責任の所在が曖昧になったり、共同開発の目的が不明確だったり、お互いの役割分担が曖昧だったり等、全て自分で行うときとは違い、物事がなあなあになる可能性もあります。

 

逆に大企業やメガベンチャー相手の場合は、自社が完全に主従における従の立場になり、決定権を大企業・メガベンチャーが主導し、自社は下請的な立場になってしまうことも、可能性としてないわけではありません。

 

このように、共同開発を行う際も、他社と行うことだからこそ、最初の時点で様々なことを明確に定義しスタートすることが重要と言えましょう。