前回の記事では、個人事業主が税務調査にあった体験談をご紹介しました。
今回は税務調査されやすい個人事業主の特徴についてみていきたいと思います。
税務調査されやすい個人事業主の特徴
税務調査されやすい個人事業主には次のような特徴があります。
- 売上に比較して利益が極端に少ない
- 900万円台後半を売上とする申告が続いている
- 現金で取引を行う業種を営んでいる
- 申告書類に頻繁に記入ミスがある
また、国税庁は、個人事業主に対する税務調査の実態について公表していますが、それを見ると、税務調査されやすい業種がわかり、「過去の不正が多い業種を営んでいる」という場合も、同様に税務調査されやすいといえます。
売上に比較して利益が極端に少ない
売上に比較して利益が少ない場合は、経費を水増ししているのではないか、と疑われることがあります。
税務署は、業種ごとにどの程度の利益率があるのか、ということについては、長年の実績からある程度つかんでおり、個別の事情があったとしても、同業他社に比べて、極端に利益率が違うということは、何らかの原因があると考えます。
支払う税金の額をできるだけ少なくしたい場合、売上は通帳や領収書控えなどで確認しやすいため、経費を増やすことで利益を少なくする傾向があります。
特に、個人事業の場合は、事業と家計の境目が微妙で、家庭の出費を経費として回しやすいという特徴もあります。
そのため、実際には本当に利益が出ていなかったとしても、極端に利益率が低い場合は、税務調査の対象になりやすい、といえます。
900万円台後半を売上とする申告が続いている
売上高が1,000万円を超えると、消費税の課税業者となります。つまり、1,000万円未満であれば非課税であり、消費税分を益税として入手できるため、それが続くと、売上を少なく申告していると疑われることがあります。
売上は毎年ほぼ同じになるということはあまりないため、なおさら作為的で不自然だと思われるのです。
売上の過少申告は、行動履歴や交通費などからも類推できますし、売上を抑えることで利益が少なくなりますから、家計の必要経費を支払う原資が説明できなくなるという可能性もあります。
現金で取引を行う業種を営んでいる
現金で取引を行う業種、いわゆる現金商売の場合、売上が通帳に振り込まれることが少ないため、売上を少なく申告しやすい特徴があります。
また、現金商売では、取引の単価があまり大きくなく、請求書などをしっかり発行することが少ないため、売上の計算も大雑把になりがちです。
そのため、不正な会計処理を行っても、証拠が残りにくく、税務署も常に目を光らせている状態となっています。
申告書類に頻繁にミスがある
申告書類に頻繁にミスがある場合は、会計書類にもミスがあることが多く、意図するしないにかかわらず、調査で間違いなくそれが発覚します。
基本的に経理を担当しているのは決まった人なので、ミスが多いようだと、調査の必要性が高くなるということです。
過去の不正が多い業種を営んでいる
これは、公表されている業種を見れば明らかで、「平成30事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」には、1件当たりの申告漏れ所得金額の多い順から、
1位:風俗業
2位:キャバクラ
3位:経営コンサルタント
4位:システムエンジニア
5位:特定貨物自動車運送
などとなっています。
また、直近の10年分の1~5位も公表されており、同様に風俗業や貨物運送業、不動産業などが入っています。
これらの業種は、当然、税務署が目を光らせており、税務調査が入りやすい業種であるといえます。
この記事では税務調査されやすい個人事業主の特徴をみてきました。
もし心当たりのあることなどあれば専門家に相談してみてもよいかもしれません。