個人事業主と法人では何が違う?法人成りについて知っておくべきこと

f:id:saimow:20210726133637j:plain

法人は個人事業主の上位にあたる存在、ということではありませんが、事業主体が自然人個人から法人になることを「法人成り」と呼びます。

ここでは、なぜ法人成りが行われるのか、個人とは何が違うのか、といったことを解説していきます。

 

個人と法人で変わること

まずは、個人と法人とで何が変わるのか、簡単に違いを挙げていきます。

 

適用されるルールが変わる

よくある会社形態としては株式会社が挙げられます。

そして株式会社だと1人以上取締役を置かなければならず、その他監査役や会計監査人、取締役会や監査役会の設置に関する様々なルールが設けられています。

組織の構成方法にもルールがありますし、他にも会社法として多様なルールが作られています。

 

個人事業主に何らルールがないわけではありませんが、法人化し、組織として事業を営んでいくのであれば、こういった複雑なルールに準拠しつつ体制を整えていかなくてはなりません。

経営者・代表者を複数人置ける

個人事業主は事業主体が個人ですので、経営・代表ともに自分だけが担います。

しかし法人の場合は複数の経営者・代表者が置けます。

組織化して単に人手を増やすということのみならず、経営層を厚くすることで、より意思決定を慎重かつ高精度にすることが期待されます。

 

ただ、その分意思決定の早さは落ちてしまいます。

例えば取締役は各々会社を代表しますが、会社としての方向性を示すには取締役間で話し合いをしなければなりません。個人であれば良くも悪くも自分の判断のみですべてが決定できていましたが、法人成りした後はそうはいきません。

 

課税の仕組み

個人事業主と法人とでは課税の仕組みが異なります。

そのため、節税対策もその効果も変わってきます。

例えば利益が300万円程度であれば個人事業主のほうが納税額は小さくて済みます。

他方、利益が1,000万円近くにまで達すると、法人成りしたほうが少なくて済みます。

 

また、消費税に関しては法人成りのタイミングが重要になってきます。

法人であるとを問わず売上額が年間1,000万円を超えてくると翌々年から消費税の納付が必要になってくるのですが、個人事業主として売上が1,000万円を超え、翌年に法人成りすればさらにそこから2年後の納税義務となり、1年分課税機会を減らすことが可能なのです。

 

社会保険への加入

デメリットの要素も兼ね備えますが、法人成りによって、社会保険への加入が可能となります。

従業員へのサポートを厚くすることができる一方で、法人側の負担は増えます。保険料の負担に加え、事務的な負担も増えてきます。

 

まとめ

他にも法人化することで変わることは色々あります。制度上、法人成りによって直接的に起こる変化から、メンバーが増えることによる事務負担の増加などといった付随的な変化など様々です。