一般用語として「中小企業」や「大企業」という言葉を耳にする機会は多いかと思います。このとき、何をもって中小企業あるいは大企業と呼ぶのか、特段意識することなく呼称しているケースが多いのではないでしょうか。
多くの場合区別の必要性がないと思われますが、補助金や助成金の受給など、特定の制度に従った活動を進める場合にはその定義を理解しなければなりません。
ここではこの観点から、中小企業基本法上の「中小企業」および「小規模事業」の定義を説明していきます。
中小企業と小規模事業者は異なる概念
中小企業基本法とは、中小規模の会社をターゲットとした、より経済が発展していくための施策を推進するための法律です。
そこで、中小規模の会社をひとくくりにするのではなく、さらに区分を設け、各区分に適したルールを設けています。
ここで設定されているのが「中小企業」と「小規模事業者」です。
一般用語としての名称とは区別して考える必要があり、企業の方は自社が同法上どの区分にあたるのかを整理していくことが大切です。
なお、同法でこうした区分がなされているのと同様に、別の法律でも似た言葉が定義されていることがありますので、混同しないよう注意しなければなりません。
例えば商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律だと「小規模事業者」という定義があります。
「中小企業」という名称に関しても、何法に基づく「中小企業」なのか、どの制度に基づくものなのか、という意識を持たなければ正しい判断はできません。
中小企業とは何か(中小企業基本法における定義)
同法では、中小企業を以下のように定義しています。
- 小売業の場合
「資本金が5,000万円以下」または「常時使用する従業員が50人以下」 - サービス業の場合
「資本金が5,000万円以下」または常時使用する従業員が100人以下」 - 卸売業の場合
「資本金が1億円以下」または「常時使用する従業員が100人以下」 - 製造業その他の業種の場合
「資本金が3億円以下」または「常時使用する業員が300人以下」
※「資本金」については「出資総額」と置き換えても良い
業種が何か、そして資本金の額か従業員の数で分けています。つまり、製造業を営んでいる場合には中小企業にあてはまるものの、小売業であればあてはまらないということも起こり得ます。
小規模事業とは何か(中小企業基本法における定義)
小規模事業は以下のように区分されています。
- 卸売業や小売業などの商業およびサービス業の場合
「従業員が5人以下」 - 製造業その他の業種の場合
「従業員20人以下」
これを見ると、中小企業よりさらに規模の小さな会社を小規模事業と呼ぶことがわかります。
規模がかなり小さいということで、同法ではこの区分にあてはまれば手厚い支援制度も利用できるようになっています。