会社を立ち上げて事業を始めるのであれば、設立手続の第一歩として「定款の作成」をしなければなりません。株式会社に限らず、どんな会社であっても定款が必須であることに違いはありません。
ここで定款の基礎知識について解説していきますので、「定款のことを知らない」という方はぜひ参考にしてください。
定款とは会社の憲法のようなもの
日本では最上位の規則として憲法が制定されています。そしてその下位に各種法律がある、という関係になっています。
会社にとっては定款が憲法のようなものであり、これが組織の在り方や会社の基本ルールをまとめた根本原則なのです。
定款のない会社は存在せず、設立手続でもその作成を省略することは許されません。
定款に記載しなければならない事項について
定款の内容は、設立者である「発起人」と呼ばれる人物がある程度自由に決めていくことができます。
ただ、法令上、定款に記載しなければならない事項というものがあります。
これは「絶対的記載事項」と呼ばれます。
必要となる情報をざっくりと挙げると、①目的、②商号、③本店の場所、④出資価額、⑤発起人の情報の5つです。
目的とは事業内容のことです。「〇〇の製造と販売」といった形で記載します。
商号は会社名のことです。
その他各事項を漏れなく記載しておかなければ、会社として成立させることはできません。
設立時に記載が必要になるかもしれない4つの事項
上に挙げた絶対的記載事項以外は、記載がなくても定款として有効に機能させることは可能です。
ただ、特定の効力を生じさせたいのであれば定款に記載しなければならない、とする事項もあります。
これは「相対的記載事項」と呼ばれます。就業規則など、その他会社が独自に作った規則に書き記すのでは不十分な事項がこれに該当します。
さらに設立時に関しては出資が問題となりやすいです。
そこで出資に関する4つの事項については特に注意が必要です。
例えば金銭を納めて出資をするのではなく、実際にモノを会社に譲渡する「現物出資」をする場合、そのことを定款に記載しなければなりません。
他にも「財産引受」「発起人の報酬」「会社負担となる設立費用」については記載が必要です。
これらをまとめて「変態設立事項」とも呼びます。
定款の内容は後から変更することもできる
絶対的記載事項でも、相対的記載事項でもないものは「任意的記載事項」と呼ばれます。無理に定款に定めなくてもその効力を生じさせることはできる事項のことです。
定款は憲法のようなものですので、そこに定めることに関して身構えてしまうかもしれませんが、後から変更することもできます。そのことを覚えておいて、将来必要がなくなれば削除する予定で特定の事項を記載しても良いでしょう。
ただ、変更したくなったときに相当数の株主がいた場合、それらの者の多数の同意を得る必要がありますので要注意です。