定款の記載事項は、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つに分類されます。
ここでは、「任意的記載事項」について、記載されることの多い事項なども共に解説していきます。
「任意的記載事項」
「絶対的記載事項」は定款に必ず記載する必要があるもの、「相対的記載事項」は定款に記載することで効力を生じるものをいいます。
そして「任意的記載事項」は、定款への記載は任意であり、定款に記載してもしなくても効力が発生する事項のことを言います。
定款であらかじめ定めておくことで、ルールをより明確にできます。
しかし定款に記載することで、その事項に変更が生じた際には定款の変更手続きを行う必要がでてきます。
定款の変更には株主総会を開いて定款変更の決議を行わなければならないため、その点も考慮して、定款に記載するか、別で定めるかを決める必要があります。
「任意的記載事項」の内容
「任意的記載事項」には以下のような事項が該当します。
- 事業年度
- 株主総会の招集時期
- 取締役・監査役の人数
- 役員報酬の決定方法
- 議決権の代理代行者
これらの中でも任意的記載事項としてよく記載されるのが、「事業年度」や「株主総会の招集時期」です。
事業年度
事業年度は、「当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月末日までの年1期とする」というような形で記載します。
注意点としては、事業年度によって決算日も決定してしまうという点です。4月1日から3月31日を事業年度とした場合は3月31日が決算日となります。
3月決算や12月決算の会社が多いですが、もちろん他の月を決算月にすることも可能です。
会社の繁忙期や、利益が高くなる時期に決算日が重ならないように設定する必要があるでしょう。そのあたりも含めて慎重に検討する必要があります。
株主総会の招集時期
株式会社では、事業年度の終了後に定時株主総会を開催し、事業報告や決算承認を行います。
株主総会の招集時期については、「当会社の定時株主総会は、毎事業年度の終了後3ヶ月以内に招集する」というような形で記載します。
会社法第296条によると、「事業年度終了後一定の時期に招集しなければならない」というように、具体的に何ヶ月以内かを定めていないため、会社ごとに定めて記載します。
一般的には、3ヶ月以内と定款に定めている会社が多いと言えます。
定款は一度作成すると簡単には変更手続きができないため、よく検討して慎重に作成していく必要があります。
定款の作成には会社法に関する知識なども必要となるため、専門家に相談しながら、適切に進めていきましょう。