青色事業専従者の給与はどう決める?相場や設定方法について

青色申告をする事業主が配偶者やその他の家族・親族へ給与を支払った場合、「青色事業専従者給与」として計上できます。ここでは、給与設定の際のポイントや注意点を解説します。

 

青色事業専従者の給与の設定方法

専従者給与の経費への算入は、届出書に記載した金額内で、かつ相当な対価であると認められた時に限られます。では、相当な対価と認められる金額はどのように設定すれば良いのでしょうか。給与設定におけるポイントを見ていきましょう。

 

仕事の内容や程度

専従者が行う仕事の内容及び程度を考慮して金額を設定します。内容及び程度とは、仕事をする日数や時間、作業内容、スキルなどがこれに当たります。

例えば、週に5日従事するのか、または週に1日程度なのか、簡単な事務作業なのか、専門スキルが必要な作業なのか、などを考慮します。

 

同業・同種・同規模の給与

同じ業界・業種・規模で仕事をする人の給与金額を参考にします。求人情報などを参考にした上で、それを大きく上回ったり下回ったりしないように設定しましょう。

 

売上金額とのバランス

事業の売上金額と給与金額のバランスを考慮しましょう。

売上が少ないにも関わらず、給与が高すぎると認められない可能性があります。例えば、売上が500万円に対して、専従者に300万円給与を支払っているような場合は、売上に対する給与が高すぎるといえます。売上金額に相応の給与金額を設定しましょう。

 

給与設定の際の注意点

給与設定のポイントを理解し、だいたいの金額が決まったら、以下に挙げる注意点を確認しましょう。これらを知っておかないと節税効果どころか、反対に損をしてしまう可能性もあります。しっかりと理解した上で給与金額を決定しましょう。

 

配偶者控除・扶養控除

青色事業専従者給与を計上すると、配偶者控除や扶養控除は利用できません。

そのため、年間を通した給与金額が控除額よりも低いと、節税効果を果たせません。例えば、月額3万円の給与の場合、年額36万円となるため、配偶者控除の38万円を利用するほうが課税所得金額を減らすことができます。そのため、給与が3円円以下になりそうであれば、専従者給与を計上するのではなく、配偶者控除を利用すると良いでしょう。

 

源泉徴収

事業主に源泉徴収の義務が発生するのは、月額88,000円以上の給与を支払った場合と定められています。そのため、88,000円未満の給与であれば源泉徴収の必要はなく、事業主の手間が省けます。

 

所得税・住民税

配偶者または扶養家族の所得金額が103万円を超えると、所得税の納税義務が発生します。また、100万円を超えると住民税の納税義務が発生します。これらを避けるためには、年間100万円を超えないよう給与を設定する必要があります。この場合、月額8万円の設定にすると、年間96万円となり、給与を受け取った側は所得税及び住民税が非課税となります。

 

以上を踏まえた上で、専従者給与の金額設定を行いましょう。