会社設立後、事業が軌道に乗ると、ビジネスの種類によっては、顧客が増大する業種も多いです。
数社としか関わらないという形であればともかく、法人・個人問わず多くの顧客と関わるようになると、「顧客管理」という観点が大切になります。
顧客管理をどのように行うのか・なぜ行うのか
まず、社長一人や数人の社員で、十分管理できる場合はエクセル・アクセスなどで十分かと思います。
ただ、多くのビジネスは、顧客が増えるにつれ、管理が難しくなって行きます。
そもそも、顧客管理というのが、
- どこまでお客様のデータを預かるのか
- 預かったデータを、どのように顧客対応の改良や接触・サービス提供・セールスに活かすか
など、「顧客管理を通して何を行うのか、なぜ行うのか」が明確になっていないと、「顧客のデータを集め整理して、自己満足で終わる」という、作業のための作業になってしまいます。
顧客管理を行う上では、「何のために」という目的意識が欠かせません。
例えば、ある仕出し弁当店では、電話がかかると、氏名・電話番号から様々なデータを把握できるようにしているそうです。
過去の注文履歴や所在地・顧客の誕生日・記念日・七五三や地域の行事などのイベントを把握し、記念日にはメニューと割引券をつけたダイレクトメールを送るなどしています。
相手が必要だろうな、というタイミングを見定めるために、住所だけでなく、顧客の家族構成・生年月日などの情報もきちんと管理しています。
一方、対法人がメインのある業種では、取引先が数社のみであり、取引先とのやりとりはビジネスチャットに集約されているため、権限のある社員であれば、過去の様々なやりとりを確認する事ができます。
また、ビジネスチャットに書けない部分は、別の社内チャットルームを作り、情報共有をするようにしています。
このように、業種によって求められる顧客管理というのは、相当異なります。
自身の業界に適合した顧客管理方法は、先輩経営者か税理士など専門家に聞こう
顧客管理というと、ソフトウェアを導入したり、データベースを構築したりなど、月額の顧客管理サービスを契約するなど、様々な方式があります。
手法がたくさんあるため、どの方式が良いのかいろいろと迷うことがあるかもしれません。
一番無難なのは、先輩経営者なり、顧問税理士なりに、「業界では、顧客管理をどのようにして行っていますか?」「先生が顧問をされている事業者さんは、どのように顧客管理を行っていますか?」などヒアリングを行い、他の事業者が使って「良いな、これ」と感じた顧客管理手法を用いることです。
やはり、特定の顧客管理手法を用いるということは、それだけの理由・メリットがあるから行っているのです。
あくまで顧客管理は手段
ここまで書いてきておいて、少しハシゴを外すような言い方になりますが、「自分が顧客をきちんと理解・管理して、自分自身しか事業に関わっている人がいない」、そんな状態であれば顧客管理はメモ書きでも、頭の中でもいいのです。
逆に、2人以上で顧客の情報を共有する場合には、何らかの形で顧客管理の仕組みを作ることは重要です。
例えば、社長自身には丁寧に対応してくれる人でも、社員に対しては、あまり丁寧な対応ではない、という人もいるかもしれません。
また、コミュニケーション手段の多様化によって、顧客でも、
- 現在のコロナ禍でも、対面で会うことを重視する人
- テレビ電話などリモートでのコミュニケーションを好む人
- 電話が好きな人・嫌いな人
- 電話のコミュニケーションは苦手で、メールやビジネスチャットを好む人
など、コミュニケーションの手法だけでも「好き・嫌い」というのが多様化しています。
この多様化は、コミュニケーションだけでなく、様々な分野で生じています。
あくまで相手の望む手法を取る、望むサービスを提供する、そのためにも、一人社長を卒業した場合は、顧客管理が重要になると言えます。