経費の大きさは、翌年以降収める税金の大きさを左右するため重要です。
しかし、大きな支出があったからといって常に丸々その年の経費に計上できるとは限りません。ここで観念されるのが「減価償却」です。ここではこの減価償却のルールについて解説していきます。
減価償却とは
事業用に大きな設備を備えたり、機械を置いたりした場合、それらの物は経年により徐々に価値が減っていきます。パソコンなどもそうですが、一度購入したものを永続的に使用し続けることはできません。
こういった徐々に価値が下がっていく物を「減価償却資産」と呼びます。
そして、減価償却資産を取得するのに支出した費用は、その時点で全額必要経費になるわけではありません。
価値が下がっていくのに合わせて消費するように、必要経費として計算するのです。
そのため減価償却資産に関しては使用可能期間の把握と分割の方法を知っておかなければなりません。
減価償却の意義
減価償却があることによって、思い通りに経費計上ができないことがあります。そこで、なぜ減価償却といった仕組みができているのか、と疑問に思うこともあるでしょう。
減価償却が必要とされる理由にはいくつかあり、その1つに「費用収益対応の原則」が挙げられます。
この原則は、期間の経過に伴い生ずる収益と費用の内容を対応させるというものです。
実際、資産は何年もかけて、経年劣化をしながら収益を生み続けます。そのため一括で購入をしたとしても、実質的には徐々に経費を使って利益を得ている状態に近いと捉えるのです。
減価償却にもメリットがある
ルールをよく知らない方からすると面倒に思うかもしれませんが、減価償却にもメリットがあります。
1つは節税効果の調整がしやすいということです。
一括で、購入した時点で計上しないといけないとすると、かえって困ることも出てきます。しかしこれを「原則分割して経費に算入し、例外的に特例を活用してまとめて処理することもできる」という扱いにすることで、事業者ごとに節税効果を調整しやすくなっています。
また、経営成績を正確に把握しやすくなるというメリットもあります。
一括での計上しか認められないと、その期における費用だけが莫大になってしまうことがあります。しかしこれを耐用年数に対応させることで、適切な損益計算もしやすくなります。
ここでは減価償却の概要や、基本的な考え方を紹介しました。
実務上は、少額減価償却資産の特例なども活用しつつ計上していくことが重要になりますので、特例の内容についても知っておく必要があるでしょう。